不登校だったあの子の今 | 福岡の自閉症児ママの療育ブログ

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自閉症などの発達障がいと向き合う福岡在住のママたち

sachiです。

わたしは独身時代、

不登校の子どもたちのための教育委員会の施設で

1年ほど働いたことがありました。


そのときに一風変わった中学生がいました。

一歩近づけば一歩下がる。

漢字は分かってるのにひらがなしか書かない。

(私は最初漢字が理解できないのかと思っていましたが、

夫曰く、漢字を書くのは時間がかかって面倒くさいという理論らしい)

何もしゃべらずに、いつも遠くからこちらの様子を眺めている。

でも素直で、体験活動には楽しく参加できていました。

家庭の複雑な事情で学校に行けなくなっている他の子どもたちとは

また全然違う不思議な子でした。


わたしは異性だったためかいろんな対応を試みたのですが

ほとんど関わることができず、

当時同僚だった夫が、

剣道の経験を生かして彼に分からないように

うまいことズズッと間合いを詰めていって(すごい驚いてたなぁ・笑)関わっていました。

会話は多分ほとんど成り立ったことがありません。


「あの子今頃どうしてるんだろうね?」


夫と懐かしく思い出して

何となく名前をネットで検索してみると、

しっかり写真つきであがってきました!


なんと、地元の大学に入り、論文で若手研究者に与えられるとても名誉ある賞をいただいてました。

その賞は毎年、東大や京大、理研などの研究者がいただいている賞らしいです。

論文名を読んでもさっぱり分からない研究内容でしたあせる


彼はインタビューで

いろいろなことを隠さずに話していました。

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中学生のとき不登校であったこと。

中学校の部活はしんどくて、

勉強もおもしろくなかったこと。

人とかかわることが苦手だったこと。

でも、このままじゃいけないとずっと思っていたこと。


大学での勉強は楽しくて朝から晩まで勉強したこと、

でも人とのコミュニケーションがとても困難で

就職活動にはことごとく失敗したこと。


そして、プレゼン(話す)能力をあげるために大学院へ進学し、

学会での論文発表を繰り返していくうちに、

だんだん相手の返す質問を想像して答えるということができるようになっていったこと。

論文受賞後、数々の企業から就職のよい返事をもらい、

今後は医療技術の発展に貢献していきたいと思っていること。

海外に向けても論文を発信していきたいと思っていること。等・・

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旦那と二人で感動しました。

大学ではよい出会いがあったんだと思います。

いつか大人になった彼と会って話をしてみたいです。


できる分野を生かして苦手な分野に取り組んでいくことの意味深さ、

結実したときの成果の大きさを、また教えられた気がします。