
http://store.steampowered.com/app/250600/?l=japanese
PCゲーム配信サイトSteamから無料でダウンロードできる。
無料ゲームにありがちな、DLCやガチャで集金するような類のゲームではないということを、まず明言しておこう。このゲームの大きな特徴の一つが、クリアまでに要する時間はたったの数分であるということだ。あなたはハエを操作する。そしてそのハエは天高く、空を目指していく。時には風に吹かれることもあるだろう。時には危険な蜘蛛の巣にかかりそうになるかもしれない。だがハエは空を、高く、高く目指していく。ただそれだけである。最近のゲームでは、やりこみ要素として実績、アチーブメントを多数設定しているものが多いが、このゲームにそんなものはない。解除できる実績は1つだけである。しかもその実績が、某有名な、時を操る感じのオカリナをつかっちゃうような超名作ゲームのオマージュもとい丸パクリであることは、このゲームの価値を下げるものではない。
このゲームの技術介入の余地がない。いくらゲームが上手かろうと、下手であろうと、「The Plan」をプレイするにあたっては全く問題はない。技術もいらないたった数分のゲーム、というと、ゲームというよりはむしろ映像作品に近いだろう。当然世界観や設定を説明してくれるようなテキストは全くない。ただ、ハエが飛ぶ。それだけである。
しかし、私はぜひ、このゲームをすべての人にプレイしてもらいたいと思う。なぜか。それはこのゲームの「雄弁さ」に集約される。たった数分の、実績も1つしかない、テキストなんて全くない、技術介入の余地もない、そんな一般的なゲームと比べて「無言」とでも言えるようなゲームの、一体何が「雄弁」なのか。そう思う人もいるだろう。だが私は声を大にしてそれを否定したい。一部「The Plan」を既にプレイ済みの聡明なる読者諸君においては、これから私が言い出すことは容易に予測できるだろう。「The Plan」とうゲームは、ゲームというよりは、もはや「芸術作品」とでもいうべきような代物なのである。
読者諸君も大いに経験したことがあるだろう。この世の中において、真に人の心を打つものというのは、説明を必要としないのである。それは雄大な自然であり、古の人々が築き上げた壮大な建築であり、小説家が死ぬほど苦しんで書き上げた文学であり、芸術家が自らの命を削ってでも創り上げた絵画であり、彫刻であり、音楽なのである。当然、ここは天下分け目の関ケ原、などと説明され、実際にその地に降り立てば幾何かの感動はあるだろう。私はそれを否定しない。だが、なの前知識がなくとも、なんの説明がなくとも、人々に感銘を与え、衝撃を与え、人生観さえ揺るがしかねないというものが、この世には確かに存在する。明治や大正の所謂文豪と呼ばれる人々の、さらにまた傑作と呼ばれる作品を読み終えたときの、あのなんとも形容しづらい、ハッとする感覚とでもいうか、感激や感傷といった感覚とはまた違った、ある種の手ごたえとでもいうべき感覚。そういったものを、この「The Plan」は持っている。
このゲームを最後までプレイしたときに、あなたは何を思うだろう。
