感動って双方向なんですね | 言葉は言霊 ~話す言葉によって未来が変わる~

言葉は言霊 ~話す言葉によって未来が変わる~

人の身体は、食べたもので作られる
人の心は、 聞いた言葉で作られる
人の未来は、話した言葉で作られる

いい言葉を聞いて、心を豊かにし
いい言葉を話して、明るい未来を作りましょう

今日も日本講演新聞の

アーカイブから紹介します。

 

2010年に掲載された社説で

タイトルは「感動って双方向なんですね」

 

 

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奈良県川上村は、

豊か過ぎるほどの自然に囲まれた村である。

 

 

お隣の和歌山県に流れる紀の川の源流があり

日本一の桜の名所と言われている吉野村に隣接している。

 

この川上村で小さな恋の物語が実を結んだ。

それは、

村営の「ホテル杉の湯」に掛かってきた

1本の予約の電話から始まった。


「どこか桜の景色の良いところを

 教えていただけませんか?」

 

「観光ですか?」

「いや、実は…桜が大好きな彼女に

 そこでプロポーズしたいんです」

 

予約した日は、

桜の満開の時期から少し過ぎていた。

 

「何とかしなくちゃ」と思ったスタッフは

「分かりました。探しておきます」

と応えて電話を切った。

支配人に相談した。

 

前例のないことに

最初は戸惑っていた支配人も

あることを思いついた。

 

「場所を教えるだけじゃつまらない。

 二人の為に何かしてあげよう」

二人を案内しようと決めた場所は

同じ村営のギャラリーカフェ

「匠(たくみ)の聚(むら)」

 



一番いい景色が見える

全面ガラス張りのところを2人の指定席にした。

 

前日には入口からそのテーブルまで

レッドカーペットを敷いた。

 

宿泊客の中に数人の子どもがいたので

協力をお願いした。

 

合図をしたらクラッカーを鳴らしてほしいと。

そして、その日はやってきた。

 

入店する二人。

 

一部始終を隠しカメラで撮影することは

事前に彼から承諾をもらった。

BGMに彼女の好きな

ドリカムの「未来予想図」をさりげなく流した。

 

カメラには和やかに会話をしている二人が映っていた。

いつ彼が話を切り出すか、

スタッフは固唾を飲んで見守っていた。

 

ウエイトレスも緊張していたのだろう。

 

注文されたミルクティにレモンが添えられていた。

 

 

それを見て彼女が笑った。

「まだ?」

子どもたちはクラッカーを片手に

しびれを切らしていた。

なかなか言い出せない彼。

どのくらいの時間が流れたことだろう。


そして、そのときが、来た。

 

 

事前に準備していたものを

カウンターに取りに行く彼。

 

彼女の前に置かれたお盆には

桜の花が付いた小枝と小さな箱。

「何?これ」と彼女。

 

「僕の愛です。受け取ってほしい」

 

桜の枝と小箱を手渡した。

中にはイヤリングが入っていた。

「これって、もしかして、プロポーズ?」

 

驚く彼女の目から涙が溢れ出した。

なぜか彼の目も涙で光っていた。

しばらくして彼に笑顔が戻った。

 

それを見て、支配人は確信した。

 

「気持ちは届いた」


GOサインを出した。

 

次の瞬間、全面ガラス張りの向こうで

景観をさえぎるほどの大きな垂れ幕が上から落ちてきた。

 

「おめでとう」と書かれていた。

パン、パン、クラッカーが鳴った。

 

隠れていたスタッフや宿泊客が出てきて

「おめでとう」の拍手。

 

そこでネタばらし。 

「驚かせてすみません」と支配人。

 

「えっ、私たちの為に?」

 

そこから言葉にならない。

 

涙、涙、涙の彼女。


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う~ん、感動的!

 

 

ホテル杉の湯の理念は

「私たちは…お客様と共に感動します」

 

お客様に感動していただくだけでなく

お客様と共に感動する。

 

だから、感動は双方向になる。

 

お客様だけでもなく

自分だけでもなく

お客様と共に感動する

 

サービス業に携わる人の

大切な土台となる部分だと思います。

 

今度、泊まってみよう。