「ノルウェイの森」を読んで、
村上作品を他にも読んでみようと思い手に取ったのが、
この「海辺のカフカ」だった。
~STORY~
15歳の少年が、自分自身を取り戻すために
家出をする。そこでの出会いや、「経験」を通して
自分を取り戻していく物語だ。
「この作品は」ノルウェイの森とは違い、
とてもファンタジーやスピリチュアル要素の強い作品だった。
それに、ギリシャ悲劇や日本の古典文学、哲学や、クラッシック音楽など
さまざまな要素が含まれていて、
すごく内容の深い、ただ少年が思春期に非行に走って更生してい行く…
というような簡単な話ではなく、もっと深い部分で、
たくさんのメッセージを含んだ作品だと感じた。
読み始めた最初は、
空想の世界なのか現実なのか良く分からない場面や
過去や未来のこと、主人公とは別に動いている別の登場人物の動きに
頭が混乱してしまう部分があったが、
作品の世界にいつの間にか引き込まれていった。
村上作品には、不思議と読者を引き込む力がある。
この作品を読んでいて、あり得ない世界ってないのかなと感じた・・・
読み始めたときに覚えた、現実と幻想との混乱は、
現実と幻想の境はそんなに重要ではないということを感じさせるための
作者の意図するところだったのではないかと思った。
世の中の仕組みが大切なんじゃない。
もっと重要なのは、生きるということの苦しさの中に、
愛するということが存在しているということ。
愛は憎しみや苦しさとの表裏一体だけど、
人はそれを求める。
自分自身の深いところで、そのことを感じることができたように思う。
≪心に残った言葉たち≫
・「なぜ誰かを深く愛するということが、その誰かを深く傷つけるというのと
同じじゃなくちゃいけないんだ。つまりさ、もしそうだとしたら、深く愛するということに
一体何の意味があるんだ?…」
・「昔、人間は男男、男女、女女の3種類いた。なにかの拍子に怒った神様が人間を二つに割って、
男と女の2種類だけになった…つまり人間は半分になってしまったもう片方の相手を探す宿命がある…」
・「人間は何かに自分を付着させて生きていくものであり、
君も知らず知らずのうちにそうしているはずだ。」
・「誰もが恋をすることによって、自分自身の欠けた一部を探しているものだからさ。
だから恋をしている相手について考えると、多少の差こそあれ、いつも哀しい気持ちになる。
ずっと昔に失われてしまった懐かしい部屋に足を踏み入れたような気持ちになる。 」
最後に・・・
この作品は、読む人に寄って解釈が様々で
すごく意見が割れるものかもしれません。
けど、きっとそれでいいんだと思います。
この世の中に、はっきりと言い切れるものなんてほとんど存在しないんだから・・・
1度読んだだけでは、理解できない部分もありました。また、いつか読み返してみたいと思います。
きっとまた違う感想が持てるんじゃないかなと思います。