※ネタバレ注意です!!!
あらかじめ「変な絵」「続・変な絵」(文庫版特典)「七篠レン 心の日記」(ブログ)をお楽しみ頂くことを推奨します。
新作「変な地図」も絶好調の雨穴さん。
せっかく盛り上がっているので、夏前からずっと下書きのまま放置していた『変な絵』の考察を頑張って仕上げてみました。
子らが見ていたスカイピースさんの「変な絵」推理動画を横目でうっかり見ちゃってドハマり。
気になって気になって仕方ないので本(ちっちゃくて安い方)を購入し、ブログもろとも一気に読みました。
本屋さんで平積みされてた表紙をぼんやり憶えてたけど「本読む時間なんてないよ~」とか言って今までスルーしてました。やればできるじゃん。掃除とか洗濯とかいろいろ犠牲にしたけども。
いわゆる名探偵が出てきてスッキリ解き明かす系ではないので、オチを待っているとあれ?ってなるかも知れません。
もちろんそれでも十分エンディングとして捉えられますが…
読後モヤモヤが残るというレビューを多く見ましたが私はどっちかっていうとムラムラ
!
「いぃやまだ何か見落としてんじゃないか?どこだ~?これか~?」って勢いが止まらなくなりあっちこっち読み返しました。
視点人物がそれぞれの目線で語っているのでいちいち真に受けていると振り回されます。
じゃあ私も好き勝手に語り散らかしてみよう!ということにしました。たぶんこうやって「参加」する作品なんだと思います。楽しいですね。(違ったらドウシヨウ)
それでは考察いきます。
※さあ未読の皆さん、中でもコミカライズリアタイ勢の皆さん、このブログはここでフォローしておいてそっと閉じることをおすすめしますよ。
※カッコ内の数字は該当するブログの日付または文庫版のページ数です。敬称略ですごめんなさい。
【ほとんど語られない武司と由紀の心情】
物語スタート時点で不在なのもありますが、まったくもってこの2人の本音が読み取れませんでした。
武司はまだブログから人柄が見えますが感情はややセーブしている感じ。優太の誕生後については推測するしかありません。
由紀に関しては由紀視点で語られる部分はまずありません。でも最後のメッセージは由紀の声で脳内再生されてちびびびりました(声知らないのに…)。
と同時に今までのいろんな場面が音を立ててひっくり返りました。
由紀は自らの意志で「直美に」近づいたのではないか…?
唯一、由紀の感情が大きく動く岩田との会話。(p203)
K山事件後、わざわざ豊川と一緒に直美の家へ行く。(p201)
岩田が探っていること、登山することをわざわざ直美に伝えに行く。しかも「事件の取材」とか言っちゃってる。(p276)
武司との結婚直後、三浦への気持ちをわざわざ直美に告白する。(p282)
K山事件の犯人が直美だと確信していて、追い詰めて罪を重ねさせ最愛の武司を奪う。
最終的には自分の命を懸けてまで…
すべては三浦への想いからくる復讐だったんじゃないでしょうか?
殺意に気づきながらも行き場がなくて逃げられなかった…というのが直美の考えですが、そもそも親と大ゲンカのあげく家を飛び出して上京、食えなくてもイラストを続け、武司が渡そうとしたお金も「いらないよ」という心意気。(p280)
ひとりでも全然やっていけそうで、でもまぁ身重の状態ではそれは難しいかも知れませんが、普通は身重ならなおさら身を守ろうとするはず……
捨て身ゆえにあえて逃げなかったと考えると妙にしっくり来るのです。
武司との再会も仕組もうと思えばできそうですよね。由紀の情報を持ってきたアルバイトの青年とやらが由紀の手の者であれば…。(男は美人の言うこと聞きがち)
もしも単なる偶然だったとしても、三浦そっくりに成長した武司と何度も会ううちに気持ちが固まっていったのかも知れません。
いっぽう武司は無邪気にユキちゃんユキちゃん言ってて、弟っぽいとかマザコンだなんて言われていますが、わずかに描かれている優太との会話(p134)やメッセージ(p346)からは意外にしっかり自分を持っている印象を受けました。
正義感を感じられる投稿もありました。(2009/08/13・14)
そして優太に「ママのいるところではこの話は…」(p134)とか「良くない部分はある」(p347)と伝えていることから完全な直美信者という訳ではないと思います。
絵の秘密に気づいた後は優太への手紙を赤の他人の霊園管理人に託しているほどです。
まあ遺書ですから、さすがに直美に渡すわけにもいかなかったでしょうけど。
【ふたつの意味】
そうそう「絵の秘密」と言えば…
「続・変な絵」までお読みになった方は武司の最後のブログ(2012/11/28)をどのように解釈してらっしゃるでしょう?
直美へのメッセージ、とされていますが(p292)腑に落ちてますか?
私どうにもモヤモヤしてしまって。
「3枚の絵」って「続」でもう一組出てきますでしょ。
「続」の謎解きの3枚は引き出しから見つかったそうですが(p346)誰宛てなのかは書かれていません。もしかしたら優太宛てに見せかけて武司宛ての可能性もあった…いやむしろそっちがメインだったんでは?!と思うんです。
優太も違和感を感じ、「母(由紀)いなくても」は「母(直美)いなくても」であると解釈しましたが、そもそも武司へ向けての
「もう母(直美)がいなくても大丈夫だよね?だから義母を…」
という意味だったのではないでしょうか?
武司がこっちを先に解読し、由紀の最後のメッセージまで到達していたとしたら…
そこから「ブログの3枚の絵の秘密」もつかんだ(2009/07/12)のだとしたら…
いやむしろ「義母を云々」を解読してしまったからこそ、優太への手紙を直美が見つけにくい所に預けたんでしょう。
もちろん優太へは見せかけのメッセージに誘導する解釈を添えて…(p346)
そして最後のブログで、あえて誰宛てとハッキリ書かず
直美へ向けての「(第1章の)3枚の絵の秘密に気づいた・許せないが愛している」と
由紀へ向けての「(謎解きの)3枚の絵の秘密に気づいた・許せないが愛している」
のふたつの意味を含ませた・・・と考えられやしませんか?
優太宛てとも武司宛てともとれる由紀の手紙。
直美宛てとも由紀宛てともとれる武司のブログ。
見方を変えると別のものに見える・・・第一章のだまし絵の伏線がここにも。
【由紀の気持ち】
おじいちゃんの絵を描かなかったのは、描いたらまんま三浦先生になってしまうからではないでしょうか?すでに不在なのでパズルに居場所もないし。
由紀が泣いた(2009/09/03)理由はタイミング的に謎解きの3枚を描き終えて復讐の準備が整った安堵と、岩田・豊川を巻き込み、武司を利用し優太を巻き込んでしまう事への自責の念がありながらも自分の想いを貫かなければならない、そしてこのあと起こるであろう武司と自分と優太の未来予想、が一瞬で見えてしまった…のであればこの世の終わりのような(p292)泣き方にもなるのかも知れません。
由紀は予知能力者かも?と栗原さんが言っていましたが(p72)、たしかに由紀の「先の先の先の先の先」を読む能力というか…
そういえば由紀はオセロ強かったですよね。(2009/03/20・08/28)
直美と同じく由紀もまた、わかっていても止まれなかったのではないかと推察します。
一貫して法に触れない手段(直美にやらせてる)を選んでいますが由紀が動かなければ岩田・豊川は生きていたでしょうし、東京へ逃げた直美を追うように由紀も上京しています。
そして武司を利用して直美に近づき、自分が命を落とす(直美の罪を増やす)事まで計算に入れて絵を遺しています。
由紀の「犯した罪」とはまさにこれだったのでは…
現に直美は由紀に怯えていました。
由紀が好きだと言っていた映画(08/11/01)(08/12/07)にも何か意味があるのかな?と思いましたが鑑賞する時間が作れず…詳しい方もし考察したらぜひ教えてください。
【武司の気持ち】
ブログで直美の存在を不自然に隠した部分がいっぱいありました。
武司の死後に直美が消したんかな?と考えましたが、だったらあの5枚の絵をまず消しますよね。そんなことしたらこの物語が始まらなくなってしまう…ww
やはり武司が、真相を知って動揺しながらも直美の存在がわかる部分だけ消したのでしょう。(2009/06/01)などは焦りが伝わります。
あの5枚の絵と、3人で暮らしていた痕跡が残っていたら直美に捜査の目が向いてしまうかもしれない。本文の言い回しをお借りするのなら自分亡き後、『優太の母親』を守るために…(p271)
仮に育児中の3年間も更新していたとして、でもそれをまるっと消したのなら恐らく自分の死後、直美がブログを見ることを見越して5枚の絵にすぐたどり着けるように…だと思います。自省してほしい、という気持ちもあったのかな…
武司がK山事件の真相を知っていたかどうかは分かりません。
でも当時12歳で、自分の父があんな最期を遂げたのなら理由を考えない訳はないでしょうし、由紀のメッセージを解読して行動理由を考えればおのずと見当がつくと思います。
大人になってからネットで調べた可能性もあります。
環境ゆえに自己肯定感が低めな武司ですが小さいころは本ばかり読んでいたとの事なので頭は悪くなかったと思います。
「手をつなぐ父子の絵」を見る限り、由紀の武司への愛情も嘘ではないでしょうけれど(と思いたい)、明らかに武司に三浦の面影を見ていただろうし武司もまた、由紀に直美を見ていたのかも知れません。(p272)
武司が辿りついた真相は
「愛する由紀の命を奪われたけど直美を恨むことはできなかった」
というより
「父と由紀の命を奪ったのが直美であり、由紀が命懸けで愛していたのは父、そして由紀から託されたけど直美を殺すことはできない…」
ではないかと思います。
だとすれば絶望の深さは計り知れません。
でもさ……私は……それでも優太の為に生きてほしかったよ!
【その他】
ちょっと苦しい推理なのですが「続」の謎解きの3つのキーワードには
「成仏(することが私の)純愛(の)終点(なんだよ)」みたいな由紀のメッセージがあるのかな~なんて思っていたのですが、メッセージはひらがなだったので変換違いにしたらどうなのか?とよぎり試してみたところ…
「成仏・殉愛・秋天」とも考えられますね。
由紀は三浦への愛のために命を懸けた。そして秋天とは秋の季語。
直美の母・三浦・岩田・豊川・由紀の5人は全員9月に亡くなっています。暦の上では秋です。
由紀が直美の母の事件まで知っていたかどうかは謎ですが。
直美も罪を重ね過ぎたけれど、環境によるところが大きいと思います。
きんぴらのくだりは切なすぎて…
何かを守るためとはいえ5人も殺めてしまい最愛の息子は自ら、あわや熊井まで、下手すりゃ7人・・・あれ?例の木の絵のトゲトゲも7本でしたね。七死の連…なんちゃってね。
いくらなんでもこれはこじつけです。熊井さん生きてるし。
そういえば栗原さんの骨折についての考察もよく見かけましたが、時系列から考えて真犯人が逮捕されたので安心してK山に登ってみて6合目あたりで転んだのではないかと思っています。(p212,216)
あとはどこかのスーパーさんとかで
・絶品ホールケーキ
・じゅわわわ!麻婆豆腐
・はなやぎ弁当
・世界一焼きそば
なんてコラボメニューが出たら面白いだろうな~。
…いや、はなやぎ弁当は人によってはちょっと喉を通らないかもしれないけど。
いやぁ、考察たいへん楽しゅうございました。
雨穴先生、素敵な作品をありがとうございました。
何がいちばん面白いってこんな作品を生み出す雨穴さんが歌って踊ってること!!
桑田佳祐さんを尊敬されているとのことですが、サザンと桑田さんを聴き続けて育った私としてはコレ聴いてると良い意味でニヤニヤが止まらんのですわ。
【おまけ】
考察の途中で見つけた、AIの自由すぎる考察
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AI による概要
「変な絵」の真相は、作者の雨穴氏が描いた91枚の「変な絵」に隠された謎を、オカルトサークル「七篠レン」のメンバーが解き明かしていくという物語です。ブログ「七篠レン 心の日記」に投稿された絵を巡る推理が展開されます。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
今野武司さん ご命日に添えて



