俵万智さんの
第七歌集『アボカドの種』を読みました。
わかりやすい言葉で
微妙な心の揺れをとらえ、
描きだしている。
六十代から見た、
熟成した恋への視点が
興味深かったです。
成長しつつある息子さんの
鋭い言い返しや
切れのある言葉などもあって、
それも面白い。(先が楽しみですね)
現代短歌のお手本の現在形。
短歌を自分で作っていても、いなくても、
ポピュラーに手にとられるような
一冊だと思います。
不純物沈殿したるビーカーの上澄みの恋、六十代は/俵万智
心配をさせてくれない人だから救急箱のように見守る
当たり年の恋かもしれず心にも熟成という作用あるなら
まんべんなく点を取ること大事かと問われてひるむ三日月の夜
洗いもの雑に終えればこの家の妖精たちがくすくす笑う
以上『アボカドの種』/俵万智
(角川書店 9784048845632)より