フカマチカズマサと鉄人騎兵団 -4ページ目

フカマチカズマサと五月晴れ・上

去年の秋だったか。


英霊来世と言うバンドさんから


一曲作ってくれないかとオファーがあった。






僕はずっと昔にも


もう閉鎖されちゃったんだけどブログを書いていて


そこに祖父ちゃんの話と、写真を貼った事があって




偶々その日のブログを読んでたメンバーさんから


その写真のイメージの曲を作らないかと誘われたのだ。






写真は、祖父ちゃんと僕が


鯉のぼりを上げていて




まだその行事の意味も知らずに


太陽が眩しくて、ぶっさいくな顔を向ける僕と




黙々と鯉の紐を手繰る


爺さんの姿が写された、そんな写真だった。






自分のバンドでは絶対作れない曲なので


僕は是非やりたいですと、お願いした。




まだこの時点では企画段階で


CDに入れてもらえるかは分からなかったけど


この日から、祖父ちゃんの思い出をノートに書く。


そんな日が続いた。






数ヵ月後、初めてサンプルを渡した時。


とても不安だった。




英霊来世さんの言いたい、伝えたい、メッセージに対して


戦争は愚か、今の日本さえ詳しく知らない僕。


本当に、僕が書いても良いのだろうか。




僕はただ、大好きだった祖父ちゃんの歌を書く事しか出来ず


それで良いよと言ってくれた皆様に


申し訳なさと感謝と、とても複雑な気持ちになった。






お祖父ちゃん、大好きで大事な気持ち。


それは一緒だから、それを自分の言葉で書いてくれたら良いから。




皆様のその言葉に


僕は本当に救われました。






何度か会議と詩直しを加え


採用が決まった時は嬉しくて




ただ、自分がこの曲を歌う事は知らなくて


知らされた日には、嬉しさと緊張で


また、非常にありがたくも、申し訳ない気持ちになった。






CDのジャケに使おうと広島に


祖父ちゃんの写真を取りに行った。


でも、何処を探しても見つからなかった。




諦めかけていた時


何となく、祖父ちゃんの仏壇を開けると


そこに何故か、鯉のぼりの写真だけが入っていた。






不思議な体験だった。


でもそれを見た時


この歌は僕が歌おうと、心に決めた。






レコーディング当日。


僕は持って帰った、祖父ちゃんの写真を並べ


歌録りに臨んだ。




歌を入れると言うより


写真に語りかける感じだった。






あの頃に言えなかった、分からなかった


謝りたかった、もっと側に居たかった




今だから素直に言える感謝を、気持ちを


歌に乗せて、語りかけた。




録れた声は、自分の声じゃないみたいに


優しかった。






人の言う事は絶対に聞かないのも


ボーっとする時間が無いと頑張れないのも


手先が器用なのも、火を使って遊ぶのが好きなのも




祖父ちゃん、僕は


やっぱりあなたの孫です。


あなたの子供が産み落とした、子供です。






皆さん。


まだ祖父母が生きている人。


否、父母が歳を取った時でも良い。






どうか、耳が遠くなっても


紙オムツが必要になっても


怒らないであげてほしい。




同じ言葉を繰り返すようになっても


訳の分からない話をするようになっても


黙って、聞いてあげてほしい。




一人で嚥下が出来なくなっても


一人で寝返りがうてなくなっても


どうか嫌がらずに、側に居てあげてほしい。






僕らが生まれた時。そんな僕らの


側に居てくれた人だから


だからどうか、そうしてあげてほしい。






CDは仏壇に供えた。




この歳になって初めて


お祖父ちゃん孝行が、ほんの少しだけ出来ました。




英霊来世さん。


こんな素晴らしい機会を


本当にありがとうございました。




フカマチカズマサとだいはーど

数日前の早朝4時。


眠っていると、変な声で目が覚める。




『…ちゃってるよ……


 …げちゃってるよ…………』






目を開けると、松村さんが鏡の前で


髪の毛を触りながら嘆いていた。






僕 『…え?松村さん、どしたん…??』




松 『ええ~??いやぁ~。

   

   松村、ハゲちゃってるんだよ~。』






バンドメンバーの


心の柔らかい部分に遭遇。


寝起き一発目で、最悪である。






ここから10数分、松村さんはハゲてないよと励ます。


そんなの気のせいだよと言う僕に


そんな事はないと松村さん。




そして早朝、松村さんが重い口を開いた。






『松村さ、髪伸ばしてるから余計にハゲて見えるんだよ。

 

 よしっ!今から坊主にしよ。』




そう言うと、洗面所に行き


バリカンで頭を刈り始めた。






ここまで、思い付いてから約5分。


流石、野球部。


坊主になる事への、この抵抗感の無さ。




ガリガリガガガガガリガリ……


洗面所に響く音。


僅か10分で、松村さんの頭は丸刈りになった。






あら?


思わず声を出してしまった。




これが中々良いのです。


流石男前と言いますか。野球部と言いますか。


まぁ可愛らしい。良いじゃない。






しかし松村さん


ここで驚く言葉を発射。



フカマチさん。パンチが足りないなぁ…。うん。


金髪にしようか。






早朝5時過ぎ。


僕は手袋をはめ、松村さんの頭に挑んだ。



あ、フカマチさん。


マユ毛も金髪にしてね。




それにしても、今日の松村さん。


ノリノリである。






そして7時過ぎ。


僕は言葉を失った。




目の前には、こう。何と言うか。


凄いのが立ってた。






…やべぇな。


一言、鏡を見て呟く松村さん。




…ええ。本当に。


心の中で呟く僕。






朝、明円くんを起こす。




寝起きは絶対に立ち上がれない彼が


松村さんの頭が、えらい事になってると伝えると




今年一番の早いスピードで起き上がり


パンツ一枚で隣の部屋までスタスタ歩いていった。






言葉を失う、明円くん。


しょうちゃんに至っては


怖がって近づこうともしない。






ブルース・ウィリス (ハリウッド)


ニコラス・ケイジ  (ハリウッド)


高橋名人      (ハドソン)


松村忠俊      (町田)



この日。


松村さん。世界と並ぶ。





フカマチカズマサと鉄人騎兵団

フカマチカズマサと玩具

僕   『あかん!この前も買うたったやろ!おもちゃ!』




明円 『違うもん!これは前のヤツとは違うもん!』




僕   『そうやって飽きたらすぐに違うのん買うて!』




明円 『違うもん違うもん!これは大事にするもん!』




僕   『…ほんまやな? ほんまに大事にすんのやな?』




明円 『うん、だから買うてよ!』





 
新大久保で買い物。


明円に玩具を買ってやる。




88円。


お店で一目惚れらしい。




フカマチカズマサと鉄人騎兵団



決して、芋ではない。


否、彼がそう言い張る。




最近は少し、根っこが出て来て


彼はそれを見て満足そうだ。






誰か


良い病院あったら、紹介してください。