吃音が「天才病」と呼ばれる理由

吃音は、デメリットだけでは

ない、勿論、メリットもある。




例えば、吃音を持つ人は、自分

の発言を事前に考えることが多

く、言葉の選び方や表現力が

高くなることが多い。




そして、吃音を克服するため

に、努力や練習を積む。




それ故、粘り強い性格や向上

心を持ち併せることが多い、

と言われている。




また、吃音を持つ人の中には、

音楽や芸術などの分野で優れ

た才能を発揮する人が多いと

言われている。




一体どのようなことか?




それは、吃音によって、感情

や表現力を豊かに演出するこ

とができるからである。




さらに、吃音を持つ人が自分

自身を受け入れ、認めること

で自己肯定感が高まり、精神

的に強くなることがある。




偉人には吃音が多い

「吃音が天才病」、

と呼ばれる理由の1つは、

過去に吃音がある人の中

に、天才的な才能を秘め

ていた人が多かったとい

う事実があるからである。




例えば、古代ギリシャの

哲学者、

「デモステネス」

は、吃音を克服するために、

口に石を入れて演説の練習

をした、

と言われている。




また、

イギリスの首相、

「ウィンストン・チャーチル」

や、

アメリカの大統領

「ジョージ・ワシントン」

も、

吃音を持っていたことで

知られている。




さらに現代では、

俳優の

「ブルース ウィリス」

や、

歌手の

エド シーラン」

も、吃音を克服した有名人

である。




これらの偉人は、吃音に負け

ずに自分の夢を追い続けた。




吃音症の症状

吃音症のある方に見られる

症状としては、下記の3つが

挙げられる。




➀音の繰り返し(連発)

➁引き伸ばし(伸発)

③言葉に詰まる(難発)





音の繰り返し(連発)では、

「ぼ、ぼ、ぼく」や

「こ、こ、こんばんは」

など、同じ音を何度も発

する症状がみられる。




また、引き伸ばし(伸発)

は、

「きーのう」、

「あーした」

など、言葉の一部を伸ば

す症状のことである。




さらに、

言葉に詰まる(難発)は、

言葉を話している時に

詰まってしまう症状の

ことである。




吃音症の特徴

吃音症は、年齢によって

特徴が変化する、

と言われている。




では、どの年齢にどんな

特徴があるのだろうか?




今回は、幼児期、学童期、

思春期、成人期に分けて

特徴を解説する。




➀幼児期(2歳~4歳)

幼時期には、

音の繰り返し(連発)や

引き伸ばし(伸発)の

発症が多く見られる。




しかし、幼児期に吃音症

を発症したとしても、半分

以上は小学校入学前に症状

が無くなる、

と報告されている。




また、多くの子どもが言葉

の発達過程において、スム

ーズに言葉を話せない状態

を体験する、

と言われているが、このよ

うな場合も、すべて吃音と

診断されるわけではない。




しかし、滑らかに発声でき

ない症状が頻繁に起こる場

合は、吃音である可能性が

高い、

と言われている。




➁学童期(6歳~12歳頃)

小学校に通う時期にあたる

学童期では、

言葉に詰まる難発

の症状が多い、

と言われている。




また、上手く話すために、

言葉を言い変えたり、工夫

を試みたりする行動が始ま

る場合がある。




③思春期(12歳から18歳頃)

吃音症の症状が出ないよう

に工夫することが身につい

ている場合、

「スムーズに言葉を発声

 出きているように見え

 る」

こともある。




人によっては、

話さなくてはいけない

場面や状況を避ける、

「回避行動」

を取ることもある。




④成人期(18歳以上)

18歳以上の方の中の1%

に吃音の症状が残る、

と報告がある。




思春期と同様に

「回避行動」

を取る方もおられる。




しかし、日常生活や職場

などの社会生活において、

「回避行動」

を取ることが難しい局面

も発生しやすくなる。




そのため、状況によって

は、人へ相談したり、仕

事上で工夫したりするこ

とが必要な場合がある。




[*その対処法は後に示し

ます。]




吃音症の原因

吃音症は、

「発達性吃音」、

「獲得性吃音」

の2種類に分けられる。




この2つは原因が大きく

異なっている。




<発達性吃音>

吃音症の9割にあたる症状

で、発達性吃音の原因は

明確に分かっていないの

が現状である。




現在、考えられているもの

としては、

➀体質的要因ー本人の体質

       によるもの。

➁発達的要因ー身体や認知・

       言語などの

       急速な発達

       による影響

       によるもの。

③環境要因 ー身の回りの人

       たちとの関係

       や体験による

       もの。

が挙げられる。




これらの要因の中で

「体質的(遺伝的)要因」

が全体の8割を占めている、

という報告がある。




<獲得性吃音>

獲得性吃音は、

「獲得性神経原性吃音」

「獲得性心因性吃音」

2つに分類される。




➀獲得性神経原性吃音

獲得性神経原性吃音は、

頭部のけがや薬物の使用、

脳や神経の病気で発症

する。




病気の例としては、

脳卒中やパーキンソン病、

認知症などが挙げられる。




事故で頭を強く打った方や

高齢者、薬物中毒の方に多

く見られる、

と言われている。




➁獲得性心因性吃音

獲得性心因性吃音とは、トラ

ウマやストレスによって発症

する吃音症のことを指す。




辛い体験をした時と似た状況

になると、吃音症を発症する

確率が高まる、

と考えられている。




吃音症の対処法

吃音症のある方が仕事を

続ける上で大切なことや

工夫できるポイントを

解説する。




➀環境調整

もし、吃音症の症状に難し

いと感じる業務があれば、

業務の進め方を変える、

Communication手段の

代替案を検討する、

作業量を減らす、

別の仕事に替えてもらう、

と環境調整を行うことを

視野に入れる。




但し、環境調整するため

には、会社や上司へ症状

を伝える必要がある。




他者へ伝えるときのポイント

は、症状だけでなく、

「どのようなことで困って

 いるのか」、

「どのような配慮を得られる

 と助かるのか」

を具体的に話すことである。




とは言え、人に話したくない

と考える方もおられるため、

ご自身の意思や状況も考え

ながら、まずは上司や先輩、

同僚で話しやすく、理解を

示してくれそうな相手から

相談してみるとよい。




上司や先輩の他、産業医や

社内カウンセラーなどの社

内窓口へ相談する方法もある。




➁伝えることに意識を向ける

上手く話す事でなく、伝える

ことに意識を向ける方法を試

してみると良い。




例えば、会話の中に、ジェス

チャー(身振り手振り等の仕

草)を入れたり、表情で表現

したりすることが挙げられる。




また、大切な内容を話せなか

った時に、後から文章でも送

る、などして、正しく伝わる

ようなフォローを心がけるこ

とが大切である。




③支援を活用する

発達性吃音は、発達障害者

支援法の支援対象に含まれ

ている。




そのため、症状が一定の基準

に達している場合は、障害者

手帳の取得が可能である。




障害者手帳を取得すると、

例えば、障害者求人への

応募ができるようになる。




障害者求人は、あらかじめ

雇用主に症状を伝えた上で

採用される仕組みである。




合理的配慮は受けやすく、

長く仕事を続けやすいと

いう利点がある。




但し、吃音の症状がある

からといって、必ずしも

障害者手帳を取得できる

わけではない。




申請をするためには、医師

の診断書が必要であるため、

障害者手帳の取得を検討す

る場合は、まず医療機関へ

相談してみるとよい。




実例(吃音でも教員の夢をあきらめない)

言葉が滑らかに出ない

「吃音」

に悩む教員志望の学生

らが、夢の実現に向け

て各地で模擬授業を開

いている。




人前で話す経験を重ね

て自信をつける事を目

的としたプロジェクト

名は、

「号令に時間がかかる

 教室」。




吃音当事者の輪が広が

り、大阪府八尾市では、

学校研修の一環で現役

教員を生徒役とし、教

員も吃音の児童生徒へ

の対応を学ぶ、

「発展型授業」

が初めて行われた。




現役教員と交流




言葉が出ない子に

「ゆっくりでいいよ」

「リラックスして」

と声をかけると、

プレッシャーになる

場合がある。




5月30日、八尾市の

小学校の一室。




教壇に立った大阪市

の大学4年、Aさんは、

吃音当事者として自身

の経験を踏まえ、時折、

言葉に詰まりながらも

丁寧に説明した。




生徒として聞いていた

のは、八尾市の小中学

校に勤務する若手から

ベテランまでの教員約

50人。




Aさんは、

「これだけの先生の前

 での授業は初めて。

 緊張で症状が強く

 出た。」

と悔しがった。




続くグループワーク

では、Aさんら吃音が

ある教員志望者9人が

各班に別れ、それぞれ

現役教員と交流した。




吃音の子どもを育てて

いる40代の女性教員は

終了後、

「自分の対応が正しい

 か、分からず手探り

 だったが、研修で自

 信が持てた」

と話した。




別の教員は

「知らない事ばかり

 だった。

 もっと学んで、子

 どもたちが安心で

 きるように対応し

 たい」

と気持ちを新たに

した。




教室は昨年12月の

大坂府大東市を皮

切りに、京都、徳島、

和歌山の計4府県で

5回開き、現役教員

を生徒役とする形式

は、八尾市が初めて

であった。




カフェの出会い

教室を始めたきっかけ

は、Aさんとある女性

の出会いだった。




教員を志し、国立大の

教育学部に進学したA

さんは講義で発表する

際、大勢の学生を前に

固まってしまい、教授

に、こう言われた。




「上手く話せないなら、

 教員は諦めた方が

 いい」




深い闇に落ちた。




休学も考える中、1日

限定のイベント、

「注文に時間がかかる

 カフェ」

に参加した。




吃音のある若者が接客

し、客は急かさず見守

る。




企画した東京都のBさん

も吃音当事者で、

「吃音を理由に夢を諦め

 なくていい」

と背中を押された。




広がる共感の輪




共感の輪は、さらに広

がる。




大東市での模擬授業に

関する情報を八尾市

教育長で吃音当事者

でもあるCさんが取

得し、活動に賛同

した。




八尾市の小学校の模擬

授業に先立ち、Aさんら

教員志望者9人と語り合

ったCさんは、

「吃音があるからこそ、

 ハンディを持つ子ども

 に寄り添える」

とエールを送った。




志望者たちは、

「勇気づけられた」

と笑顔を見せ、Aさんも

「マイナーな障害のある

 子どもの夢をサポート

 できる先生を目指し

 ます」

と語った。




症状10人に1人(3歳までに)

吃音の症状を3歳までの間

に示す子どもの割合が、約

10人に1人に上るとの研究

結果を、国立障害者リハビ

リテーションセンターなど

のチームが発表した。




5%前後とされていた従来

の報告より高い数字である。




チームの同センター聴覚言

語機能障害研究室長は、

「幼児期の吃音の8割程度

 は、自然に症状が無く

 なっていくが、予測でき

 ないため心配する保護者

 が多い」

と指摘する。




喫緊の課題として、幼稚園

や保育園などでの対応強化

が求められる。




チームは茨城、神奈川、

石川、徳島、福岡各県

の保健センター15箇所

で3歳と3歳半の健診を

受けた親子約2000組を

対象に調査した。




その結果、3歳までに

8.9%が吃音症状を

経験し、3歳時点で

症状がある子どもは

6.5%であった。