木造の橋

　この写真は2006年3月のものです。イタリア北東部のアルプスの裾野にある町、バッサーノ・デル・グラッパを流れるブレンタ川にかかるアルピーニ橋です。

　この町の名前にある「グラッパ」は蒸留酒の名前、透明なアルコール度が４０度もある強いお酒で食後酒として飲みます。

　橋の創建は 1569年、建築家A・パッラーディオが設計したポンツーン橋でした。ポンツーンとは軍橋として用いる舟橋のことです。舟橋は、底が平らな舟を橋脚舟として浮かべ、橋をわたしたものです。

　木造の屋根付き橋です。直線的な軸組は見事でした。さすが職人の国です。この橋におくれること100年、1673年日本（岩国市）で作られた錦帯橋は石積の橋脚に5連のアーチで組まれた太鼓橋です。アーチの国イタリアでの軸組、木造軸組の日本でのアーチ、なんだか逆転しています。

　橋の上にたたずむ女性がいます。初めて見る木造屋根付き橋を行ったり来たりしています。ふと見下ろしたところにこのカメラがありました。唖然としています。同行の学生たちは民芸品を並べた橋のたもとのお土産屋さんに入ったまま出てきません。なにやら面白い実演をやっていたようです。雨宿りした橋から濁った川面に降りたのは私だけでした。