
女将さんが最近、忽然と現れた屋台カクテルバーに行って来なさいという命令をあたいにくだした。あたいは面倒くさいと思いながらもモムのバイクに乗って行ってみた。あたいはびっくりついてしまった。だって屋台カクテルバーは近所の大学の近くだけでなく都会にも存在していた。看板などないので何屋だかわからない。でもジンだのウイスキーだの並んでいるから屋台のバーだということはすぐわかる。よその上品な店と違って猫は邪魔だなんて一言も言わない。なにしろ、車が横をがんがん走っているのだから。こぎれいなお姉さんも約一人だけいたりする。モムが驚いてあたいにむかってこう言った。

「リエップあんたねえ、ここはいいよ。面倒な姉さんが横に座ってあたしも飲んでいい?なんて絶対きかないだろ?」

なるほどニャンコそりゃそうだ。コンピューターを触ろうが、スマホを見ようが勝手に好きな酒が飲めるんだから。しかも酒飲みは料理なんてそんなに食べたくないからね。南京豆さえあれば満足なものさ。機関銃姉さんが苦々しそうにあたいに向かってこう言った。
「リエップおまえさんねえ、あたしは酒は嫌いだけど、ビジネス的にはこういうのがいいのよね。だってシンプルでしょ!」
河川水運おじさんがやさしい目をしてあたいに向かってこう言った。

「リエップくん、きみねえ、一つ懸念なのはカンボジア人は大騒ぎして大音響の中で飲みたいだろ!このスタイルはいかにも西洋的ではないか。」
ごめんだニャンコそりゃそうだ。でもあたいは知っている。ビールとウィスキーしか知らないカンボジア人にいろいろなお酒を啓もうする機会としては素晴らしいプロモーションだということを。
小池さんがあたいに向かってラーメン顔してこう言った。
「リエップ、君ねえ、このスタイルいかにも既存の思考を逸脱していていいじゃないか。ラーメンや焼きそばの屋台はありだろう。でもカクテルだぜ!しかも安くて気取っていない!」
局長のほうのハワイアン姉さんがあたいにむかってこう言った。
「あんたねえ猫のくせに偉そうに言うんじゃないよ!カクテルなんて安く出しちゃったら終わりなのよね。いかに高く飲ませるかが勝負なんだから!」
なるほどニャンコそりゃそうだ。やっぱりいかしたバーテンダーみたいなのがいると一杯、数十ドルで売れたりするんだろうな。あたいは知っている。景気は実はそんなに良くならないことを。景気の良いビアガーデンもかなり無理していることを。だから、意外とこういう店が不景気な時期は持ちこたえるかもしれな
い。
ビジネスマンのハンサムなおいさんがあたいに向かってこう言った。
「リエップくん、君ねえこれは一つのマーケッティングなんだよ。でもねえ、たとえ短期間で終わっても一定の成果はあげるはずなのだよ。だって、プノンペンのそこいらじゅうで庶民がソルティードッグの存在を知り、飲み始めるのだからね。これが商売なんだよ!」

お休みニャンコまた来週、今夜はあたいが犬猫用のおばけバーを開いて大儲けする夢でも見よう!

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