7月1日、経済産業省は、韓国向け輸出管理制度の見直しを発表した。今回の措置の理由は、わが国の韓国に対する信頼関係が著しく悪化し、安全保障上、軍事転用が可能な資材の輸出を厳格に審査する必要があるからだ。
具体的な内容は2つある。まず日本政府は、7月4日から半導体などの製造に使われる、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目に関して包括輸出許可制度の対象としないことを決めた(リスト規制)。そのため、今後は個別審査が必要となる。審査には90日程度の時間を要するといわれている。
2つ目に、政府は信頼関係の悪化を理由に韓国に対する“ホワイト国”の認定を外し、適切に輸出を管理する方針を示した。ホワイト国の認定が外れると大量破壊兵器に転用される恐れのある品目は経済産業省の判断によって個別審査が必要となる。
これを受け韓国政府は米国に、日本政府の措置は世界に混乱をもたらすと懸念を表明した。それに対し米国は、韓国の主張に同調も否定もしていない。その背景には、米国自身も韓国の北朝鮮に対する非公式の支援に懸念を持っていると見られることに加えて、わが国の制度厳格化の影響は対応可能という判断があると考えられる。
韓国の株価は相応の安定感を維持している
わが国による輸出管理制度の厳格化に対して韓国は、米国をはじめ国際世論に自国の窮状を訴え事態を改善しようとかなり焦っているようだ。康京和(カン・ギョンファ)外相が、電話会議でポンペオ米国務長官に「韓国の企業だけでなく、グローバルな供給体制を混乱させ世界経済に無視できないマイナスの影響を与える」と強い懸念を伝えた。
ただ、今のところ、米国政府の要人からは、明確に韓国の主張を支持する発言などは出ていない。韓国の文政権が期待したような、米国の韓国サポートのスタンスは見られていないのが実態のようだ。むしろ、米国の専門家の間では、「米国政府も、韓国の北朝鮮に対する非公式な支援を憂慮する姿勢もあった」との見方が多い。
わが国の制度見直しが韓国に与える影響は、短期、やや長めの時間軸の2つの視点で考える必要があるだろう。短期での影響については、すぐに出るとは限らない。すでに韓国の企業は自助努力を重ね、影響の回避に取り組んでいる。
7日にはサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が来日し、当面の生産に支障が出ないよう資材を確保した。7月中旬の時点では、「思ったほど、日本政府の対応の影響は大きくないかもしれない」との楽観から、韓国の株価は相応の安定感を維持している。
日本が「輸出管理の問題」から半導体部品輸出の厳格化を打ちだすと、韓国はそれまで日本が呼びかけても無視していた二国間協議を慌てて持ち出したり、国際会議で議題にもないのに日本を非難するなど日韓関係は戦後最悪の状態にある。韓国をホワイト国から除外すると、韓国も日本に対して同様に報復措置。しかも、文在寅大統領ら政府高官たちが「経済戦争」を示唆したり、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄をちらつかせたりと日本からすると理解に苦しむことばかりだ。
そもそも「不可逆的で最終的に合意」したはずの慰安婦問題合意を一方的に破棄したり、1965年の日韓請求権協定で解決済みの元徴用工に対する慰謝料を支払うよう大法院(最高裁)が日本企業に命じたりと、国と国の間で交わされた約束を平気で反故にしてみたり、「法の不遡及」という概念さえない法治国家とはいえない。
どうして、韓国には日本の常識が通じないのか。大反響を呼んでいる『韓国を蝕む儒教の怨念~反日は永久に終わらない』(小学館新書)を上梓した著者の呉善花氏は「韓国の歴史が理解できれば、韓国の異常性も納得できるはずだ」という。
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呉善花:朝鮮半島では王朝の交代は革命にほかならず、朝鮮半島最後の王朝として登場した李朝は、これまで仏教文化を誇った高麗王朝にとって代わるや、完璧な儒教国家の建設を目指し、朝鮮半島の政治・社会・文化・習俗は一律、儒教=朱子学に基づく倫理、価値観に沿ったものへと変質していきました。国家ぐるみの儒教への総改宗が行われたといっていいでしょう。李朝では、反乱を起こした者は一族もろとも皆殺しにしてその血を絶やし、反乱者を少しでも助けた村は村人のすべてを殺戮して消滅させました。過酷な密告システム、拷問、公開の斬首刑、死体陵辱刑などで国民を慢性的に脅えさせる状態にして、その強固な政治支配を可能にしていたのです。北朝鮮には今なおこのほとんどすべてがあります。
──韓国でも李朝の影響を受けているということか。
呉:韓国でも1948年に起きた済州島四・三事件を典型として、李朝以来の残虐な政治支配が多々展開されてきたのです。さらに李承晩は、朝鮮戦争中の1950年に「共産主義者の収監・再教育・パルチザンの殲滅」の名のもとに、無実の一般市民を大量虐殺しており、その数実に120万人といわれます。朴正煕政権時代のベトナム戦争時には、ベトナムに派遣された韓国軍兵士が一般市民大量虐殺事件と大量強姦事件を引き起こしています。
──それにしても日本に対する韓国の反応は理解に苦しむことばかりだ。
呉:韓国人は一般に、歴史的に日本人は野蛮な民族で、自分たちは平和的で高度な文化を持った民族としてあり続けた、という見方をしたがります。私も幼い頃からこうした反日教育を受けてきて、そういう風に信じてきました。しかし、これは日本統治時代(韓国併合)以降に始まったものではありません。李朝時代に培われてきた中華主義と、それに基づく華夷秩序の世界観です。特に中華主義。これは中国の統一王朝が世界の中心にあり、その中心から離れれば離れるほど野蛮で侵略的な者たちが跋扈する文化果てる夷族の地となる。だから、韓国からすれば、日本は明らかに自らも劣った野蛮な夷族の地と認識しているのです。
韓国は今でも、「かつて韓国は文化のなかった日本に文化を与えてやった」という言い方をします。そこに、今なお韓国人が「日本は文化的に低い位置にある」と見なしたい気持ちが働いていることは否定できません。その“侮日観”が現在まで続いているということです。つまり、自国民は絶対善であり、日本は絶対悪でなければならないのです。

