最近唸った書。
「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」
これまでの、分析・論理・理性に軸足を置いた経営から、真・善・美の美意識を主眼に置いたビジネスの時代に変化していくことが書かれています。
美意識というと、情緒的で感覚的なだけに聞こえますが、決してそうではないことが、見事に言語化されていて、思わず唸ってしまいます。
バイヤーとして、消費の最前線に身を置き、感覚直感的に感じていたことが、本当に明確に言語化されています。
なぜ今なのか、なぜこの商品なのか、なぜこの値段なのか、この商品があれば暮らしはどんなふうに変化するのか。
メーカーから商品を買い付けたり一緒に開発したりして、世の中に広める仕事を通して、結局この問いに何百回も何千回も向き合ってきました。
論理や理性では勝てない時代はすでに始まっていて、根拠のある感覚・感情を捉えていく世の中に移行している、と実感しています。
特にこの一年で訪れた「新しい日常」は、それを加速させたとも。
でもここで、ふと気づく。
2005年頃に夢中で読んだダニエル・ピンクの「ハイ・コンセプト」や、「論語と算盤」に書いてあることとも、実は本質的に近いのではないか。
そう考えると、社会が成熟して突発的に出てきた思想ではなく、本質を捉えた真理なのだろうと。
そんなことを考えさせられる書でした。