これまで国内外の偉大なる経営者による、リーダーシップや自己啓発のビジネス書をいろいろと読んできました。
どうやって大きな事業を成し遂げたのか、心の持ち方、人との関わり方、人の動かし方、ひいてはそもそも仕事って何なのか…。
\1000前後の本でそういうことを学べるなんてラッキーだし、そうやって自分もやっていけたら!と思うのだけど、翌日会社に行けば理想と現実のギャップの中で学びが生かしきれないジレンマを感じてきました。
ビジネス書を読んで「こうあるべき、こうするべき、ここに向かわなくちゃ!」と、自分なりに思うことがあっても、現実はたくさんの人達の人間関係と利害関係が複雑に絡み合い、すれ違いが重なって負のスパイラルにハマっていたりする。
複雑に絡みまくった状況を、どこからほどいたらいいのか糸口さえ見えない…。
そんな状況を前提に、現実に根付いたリーダーシップを説いた書が「静かなリーダーシップ 」です。
偉大なる創業者のようなヒーロー型リーダーシップではなく、クローズアップされることはなくとも日々汗している中間管理職を中心とした無数のヒーローにスポットを当て、その立場でどう考え、どう行動していくかを説いています。
深い深い洞察と考察を重ね、自分の立ち位置と見え方を意識し、問題をあぶり出し、周囲への影響力を考慮し、時には然るべきタイミングが訪れるまで時間を稼ぎ、現実に根ざした具体的な解決方法と落としどころを考える、そんな内容。
落としどころ=妥協になるケースも時にはあるけれど、妥協は悪ではないし、結果的にそれが最適な解決策であることも多い。それでも倫理的な一線を越えることはやっぱり譲れないし、譲るべきではない。
そういう、線の引きどころというかバランス感覚をどうやって心得て行動していくかが書かれています。
ヒーロー型リーダーシップを行使してきた方々も、実際はそういうこじれた問題に対処してきたはずなのだ
けど、おそらく書物になる段階でそういう雑多な細々したことが省略されていくのだと思う。そして、そういう書き手の気持ちもよく分かる。
静かなリーダーシップの三つの特徴として、1.自制 2.謙遜 3.粘り強さ が挙げられています。
これこそが、日々奮闘し社会を支えているたくさんの中間管理職に大事なエッセンス。
早急に白黒つけることをせず、自分の意見を無理に押し通そうとすることなく、自爆することもなく、自分なりの倫理観とポリシーはしっかり持った上で、それぞれの立場や気持ちをきちんと受け止めながら判断していくことが重要ですね。
中間管理職の方々と、管理職を目指す方々にも一読をおススメします