父と僕はワイングラス片手に地元の最有力者ともくされる政治家に近づいた。
「おー、これは小沢先生、よくお越し下さいました。ご紹介します。これがこの度、我が社の社長に就任しました息子の勇気です。そして、こちらは知ってると思うが、新生党の党首、小沢二郎先生だ」
さすが親父、まずは政界の大物を紹介してくれた。
「先生、父がいつもお世話になっております、息子の勇気でございます。先生のご活躍は、兼ねがね父より伺っております。今後は親子共々宜しくお願い致します」
「これが、自慢のご子息ですか。随分とご立派になられた。こちらこそ宜しくお願いしますよ!何か困った事があったらいつでも遠慮なく言ってきなさい。この老いぼれ爺が何とかしようじゃありませんか。アッハッハッハッ・・・・・」
豪快に笑いながら小沢先生がガッチリと両手で握手をしてきた。
やはり、政界の大御所だけはある。したたかそうだが、懐の深さと親しみ易さを感じる。
なかなかどうして、ただの爺ではなさそうだ。
「ところで勇気君、フレンチのレストランを始めたそうじゃないか。今建設中のホテルに、ひとつ店を出してみるかね?」
やっぱり噂は本当だったのか。
今度、盛岡市郊外にショッピングパークを兼ね備えた大型リゾートホテルがゴルフ場と共に建設されると聞いたが、それに関わっているようだ。
僕も事業拡大のチャンスかも知れないと思った。
「先生、詳しいお話を聞かせて頂けませんか?」
そこへ、すかさず父が割り込んできた。
「先生、うぶな息子をあんまり誘惑しないで下さいな」
「アハハハハ・・・、あんたの息子にうぶも無いもんだ。
どうですかな、今度3人でゴルフでもしながら、ゆっくりと話をしようじゃ有りませんか」
「先生からお誘いを受けたら、断れませんなアハハハハ・・・」
父と先生は狐と狸の馬鹿し合いように感じられた。
双方の思惑と野望が渦巻いていた。
まさに、その渦巻く中に僕が身を投じようとしている。
更なる野望を持って。
つづく。