いまから80年以上前、
スペインの小さな町・ゲルニカが、
ナチスドイツによって突然爆撃されました。
世界で初めての無差別爆撃で、
多くの一般市民が犠牲となり
当時パリにいたピカソは
新聞でそのことを知り、
激しい怒りと共に
故国の惨劇を巨大キャンパスに描きました。
そしてその作品は「ゲルニカ」
と名付けられました。
戦慄して振り返る牡牛
折れた剣を握りしめて息絶えた兵士、
これは紛れもなく戦争の場面。
「ゲルニカ」は反戦の象徴として
世界各地を転々としたあと、
現在はスペイン、マドリードの
ソフィア王妃芸術センターに展示されていますが、
今のこの世の中だからこそ
実際に目にすると
あまりの衝撃に
何も言葉は出ないでしょうね。
沈黙の涙しか、ないと思います…
さて。
マハさんの小説「暗幕のゲルニカ」は、
ピカソがパリのアトリエにて
この大作を描きあげた時代と、
現代のニューヨークとを
交錯しながら進んで行きます。
現代とはまさに
今から約20年前、
9.11アメリカ同時多発テロが起こった時代の
ニューヨーク。
ストーリーは、
国連本部、ツインタワーを撃墜され
イラク攻撃を宣言する
米国務長官の背後から、
「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。
ニューヨーク現代美術館(MoMA)の
キュレータ ー八神瑤子は、
ピカソの名画を巡る陰謀に
巻き込まれていく・・・
かたや交錯するのは
ピカソが生きた過去の時代。
カメラマンであり
ピカソの愛人でもあるドラ・マールは
怒りに燃えるピカソが描く「ゲルニカ」製作の
一部始終を撮影し後に残そうとします。
そしてこの2つの時代がやがて重なり
辿り着く真実を知った時、
これぞマハさん!と思うほどの
感動をいただけました。
史実と創作とが入り混じっていると思うのですが、
史実はもうどうでもよくなる程でした。
アートが私たちに届けてくれる
メッセージや尊さもそうなんですが、
やはり今のこの世の中だからこそ
翻訳して世界中の方に読んでほしい。
反戦の教科書になるような小説だと思ったし
読み応えも抜群でした!
解説は池上彰さんでしたよ
現在、国立西洋美術館に
ピカソが来日しているので、
ますます観に行きたくなりました。
チラシの絵は
ピカソのゲルニカ制作の一部始終を
写真に残してくれた
ピカソの恋人ドラ・マール。
小説の最初の方の彼女は
どこかツンとしているしプライドも高そうで、
まさにこの絵の感じ。。。
そのドラ・マールが
気持ちも態度もどんどん変化して行くのですが、
そこもこの小説の面白さだったかもしれません。
変わった後の彼女を描いた絵も
実際にあるとかw
今回来日はしてないと思いますが。
ネタバレになるので書かないでおきますが
ちょっとウケたよ〜
今日は晩御飯に、
栗ごはんを炊きました。
秋