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| 9月22日、世界株安でG20が急きょ声明を発表したが、具体策は打ち出せず、市場に安心感は広がらなかった。写真はニューヨーク証券取引所(2011年 ロイター/Brendan McDermid) |
[ワシントン 22日 ロイター] 世界同時株安が進む中、20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)が急きょ発表した声明では、金融セクターの安定を維持する方針とともに、各中央銀行が必要に応じて銀行に流動性を供給する用意があると表明した。
ただ具体策までは打ち出せず、市場に安心感が広がったわけではない。日本は円高懸念を強く表明したが、世界中が景気後退の不安を募らせる中では、その声もかき消され気味だ。
<次回会合までにEFSFの柔軟性拡充へ>
米ダウが2日間で674ドル急落するなど、世界的に株安が進行。ユーロは対ドルで8カ月ぶりの安値水準まで売られるなどマーケットの不安が強まる中、G20は当初予定されていなかった声明を出すことを急きょ決定した。リスク回避の背景は欧州債務問題への懸念だ。
このため声明では、ユーロ圏は10月14─15日の次回G20会合時までに、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の柔軟性を増し危機の伝播を抑えるとの見通しを提示。「われわれは、成長を支え、信頼に足る財政健全化計画を実施し、強固で持続可能かつ均衡ある成長を確保することにコミットしている」とし、マーケットの欧州に対する不安の強まりに応えた。
さらに銀行間の信用収縮を防ぐべく「必要な場合に銀行システムと金融市場の安定を保つために必要なすべての行動を採ることにコミットする」と表明。「銀行が現在のリスクに対応するために十分な資本および資金へのアクセスを有し、合意されたスケジュールに沿ってバーゼルIIIを完全に実施することを確保する」とし、マーケットにおける銀行の資本不足には対応するとのスタンスを示した。
また中央銀行も引き続き、必要な場合に銀行に流動性を供給する準備があるとバックアップの姿勢をみせている。
日本も、さらに欧州金融安定ファシリティー(EFSF)債を購入する可能性について「欧州がきちんとこれをもって危機を処理できるというスキームを作れるのならば、追加の支援は十分考えてもいい」(安住淳財務相)と条件付きながら前向きな態度を示している。
<具体策なく市場に安心感広がらず>
ただ銀行の資本不足懸念などに対し具体策が示されたわけではなく、マーケットの不安は解消されていない。もともと「20カ国の利害をまとめて具体策を提示するのは困難」(大手証券投資情報部)とみられていたことから、失望までには至っていないが、世界同時株安が進行していたことで、何らかのポジティブ・サプライズが出るのではないかとの期待感もあった。
G20を受けた市場の反応はまちまち。為替ではユーロはG20が金融安定にコミットしたことなどを好感し上昇しているが、アジア株は欧米株安の余韻を払しょくできず全般的に下落している。
共同声明は軽くはないが、マーケットは具体策を待っている。「最終的には、具体的な行動によるフォローアップが必要ということだ。金融市場は協調的な行動を確認するまで信認を与えないだろう」(AMPキャピタルの投資戦略責任者、シェーン・オリバー氏)。
バロワン仏経済・財政・産業相は、G20閉幕後の記者会見で、ユーロ圏は欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の柔軟性を高めるために必要なあらゆる措置を実行することで合意したと述べたが、各国の利害がからむ問題だけに実行までには紆余(うよ)曲折があるとみられている。
<日本は円高懸念を強く主張>
会合に出席した安住淳財務相と白川方明日銀総裁は、円高に苦しむ日本経済の状況を強く主張した。安住財務相は東日本大震災後、日本経済は順調に回復してきたが「8月以降、非常に円高が水を差す状況になっていたので、それに対する懸念を述べた」という。
ただ現在の円高は「世界経済の不確実性の増大というもとで安全資産選好が生じていることが原因」(白川日銀総裁)。世界経済に対するマーケットの認識が変わらなければ、本格的なトレンド転換は望みにくい。
G20声明には「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与えることを再確認する」との文言が盛り込まれたが、「声明の為替部分は日本だけでなく、通貨が急速に下落している新興国の見解も反映している」(財務省幹部)とされ、円高だけをターゲットにした文章ではないとの認識になった。自国通貨安による輸出振興はどの国にとっても残り少ない景気浮揚効果のある政策であり、世界株安が進行する中で、円高修正の主張はかき消されがちだ。
来年のIMF・世銀総会は東京で半世紀ぶりに開かれる。主な開催地は東京だが、安住財務相は、仙台に誘致して防災関連の会議を開き、被災地の復興の状況をみてもらう意向を示している。
復興財源に関して安住財務相は「政府税調において、19兆円になろうとする財政支出をこれまでのように赤字国債に依存するのではなく、償還財源をしっかり決めて、次世代にツケを回さないようにやっていく。所得税、法人税の増税を政府として提案していることを(G20で)説明した」と話した。
各国と協調し、市場の波乱を抑え、円高を乗り切りながら、復興と財政再建を両立させ1年後に日本再興の姿を世界に披露できるのか──。難度の高い政策運営が日本政府と日銀には求められている。
(ロイターニュース 木原麗花 伊賀大記;編集 内田慎一)
「この記事の著作権はロイターに帰属します。」


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