ビンボー大家さんのがん治療日記 -2ページ目

ビンボー大家さんのがん治療日記

不動産経営における「がん治療」とは、「家賃保証」
「一括借り上げ」からの離脱です!

 なぜアパートを建てたのですか。その質問には必ずと言っていいほどこの答えが返ってきます。「相続税をなくすため。」「相続税を減らすため。」

 これを主導しているのは、ほとんどが税理士。不動産経営の何たるかわかっていない「税」のプロが、リスクの高い不動産経営を勧めるなど言語道断です。その中には特定の住宅メーカーを紹介する強者まで。目的は、数字上の相続税の対策と、住宅メーカーからもらえる紹介料。所詮こんなレベルです。

 さて、アパート経営を勧めてくる税理士の真実をお伝えしたところで、本題に入りましょう。

 先日、90代になるおじいちゃんの60代半ばの息子さんから相談がありました。「オヤジがこんなに長生きすると思っていなかったので、アパートの借金がなくなってきてしまって。」というもの。

 明細を見てみると、家賃保証をしてもらっているそのアパート。保証される家賃は長年の間、下げに下げられ、借金を返済して、固定資産税を支払ったら幾ばくも手元には残らないことになっていました。

 別段驚くことではありません。「30年一括借り上げ」なんていう家賃保証の真実も所詮はこんなものです。アパート経営なんてできるかしら?という地主さんに一時的に安心感を与えて、アパートを建てさせるもの。その証拠に、家賃を保証する会社のほとんどは建築会社の子会社。どういうことか説明しなくてもわかりますね。

 住宅メーカー、家賃保証会社、提携税理士。1パックのセットです。過去何度この1パックと反対側に座ったことか。水際で目を覚ましたアパート大家さんが、家賃保証だけでもカットする、という構図。何度あったことか。

 話を戻します。「アパートを建てて、相続税対策をする。」というのは、簡単に言えば、借金というマイナスの資産を作って、預金や不動産、株といったプラスの資産と相殺して、トータル財産を減らしましょう!という小手先のテクニック。簡単に言えばですよ。

 借金をするのは不安、という地主さんにも、アパートの家賃で自動的に借金は返せるので安心ですよ、という説明。シンプルでわかりやすい。30年で組んだローン。その間にあなたが死ねば相続税は減りますよ、とは説明しません。

 60代でアパートを建てた前出のおじいちゃん。本人もまさか90歳を迎えるなんて想定していない。せっかく作った借金はあと数年で終わってしまう。借金の残高を確認すると・・・。燃えている森にペットボトルで水をかけるように、その相続税対策はほとんど意味をなしていないのでした。

 家賃保証をしている住宅メーカーの子会社の提案。借金が減ってしまっているので、相続税対策になりません。この土地とアパートを担保にしてリフォームローンを組んで、全面的に改装しましょう!

 ド素人。自分が大家さんだったら同じことをするのか?と呆れてしまいます。単純な理論です。新しく借金をして、マイナスの資産を大きくしましょう!それならトータルの財産は今より少なく申告できるでしょう、と。

 改装工事で利益を出したいだけです。ただそれだけです。仮にリフォームローンを組んだとして、この先どうやって借金を返していくの?そんなこと知ったことではないようです。築45年のアパートに借金がある・・・なんて想像しただけでもゾッとしますね。

 アパートを建てるために借金をして、相続税対策。建てたあとは自動返済。聞こえは非常にいいですね。でも借金が多いうちに死ななかった場合、相続する予定の人はどうするのですか?早く死ね、早く死ね、と願うのですか?早く死ななかったらどうしよう?とひたすら心配して生きていくのですか?

別の方法を考えた方が良さそうですね。
それでは。