どこまで行けるかどうかはどこまで行きたいと思うかにかかってる。
本田圭佑Twitter
サッカー日本代表はベスト16で旅路を終えた
少し空虚感が漂っていたが、再び感情移入できるストーリーに出会い、そこに陶酔している
「絶対的エース」
現代サッカーにおいて、もはやその存在はボトルネックにすらなっている
あらゆるデータが可視化され、それに基づいた緻密な戦略・戦術により個の力が抑えられてしまう現代サッカーでは、突出した選手の力がベースとなっているチームは格好の標的だ
「そこ」さへ抑えれば良いのだから
無論科学の進歩により個々のレベルも高まってはいるのだろうが、どちらかと言えば、個人より集団が優先される風潮
かつてと比較すれば、選手に華がなくなっているのも事実だ
こうした時代のアンチテーゼとしてサッカー界に君臨しているのがアルゼンチンの絶対的エース神の子リオネル・メッシだ
21世紀最高の選手とされ、FCバルセロナでは数々のタイトルと、個人としてもバロンドールを受賞してきた
その圧倒的存在はしばし「神の子」と形容される
そんなメッシもアルゼンチン代表では、完全なる成功を手にしているとは言い難い
よく言われることは、あまりに彼の力が突出しすぎ、周りがフィットせず総合力を発揮できていないという見解が一般論だ
8年前のワールドカップブラジル大会では、決勝まで駒を進めたものの総合力のドイツに苦杯をなめた
情けない話ではあるが、私も斯様な一般論に流され、年齢的に最後とされる今回のワールドカップでもベスト8が関の山だろうと予測していた
しかしあの胆力のクロアチアを個の力で打ち破った試合を感じるに、私の中で新たなストーリーが生まれてきたことも事実だ
リオネル・メッシはもはや自身のため、アルゼンチンのためだけに闘っているのではない
蹴球というエンターテイメントが、その華を失わないよう風前の灯となっている小さな炎を再び煌々と燃えあがらせようという反骨精神と意志を感じるのだ
決勝戦の下馬表は、またも「総合力」という点でフランスが上だ
しかし此度のアルゼンチンは、総合力に敗れた8年前のチームとは違う
そこに俄然と立ち向かう強烈な「反骨精神」
それをリオネル・メッシはチームメイトとも共有できている
ややナラティブな表現が許されるのであれば、
アルゼンチン代表はあたかも巨大帝国に果然と立ち向かう聖なる騎士団の様を呈している
ワールドカップ2022カタール大会決勝戦
神の子リオネル・メッシは神になれるか
睡眠時間を犠牲にする覚悟はできている