2024年の冬。

 私はインフルエンザになった。

 薬をもらいに行った薬局で「りせちゃん」
   が働いていた。

 私は彼女の名札を直ぐに確認した。

 どうか「黒崎」であります様にと、

 彼女の名前は高校から変わっていなかった。
 
 きっと彼がりせちゃんの名字になって幸せに
 過ごしているはず。

 熱がある頭の中で自分に何度も何度もそう
 言い聞かせていた。