走り初めて2㎞くらいか、男性に道を尋ねられた。
男性は徒歩、カジュアルコートのお出かけコーデ、ここは名勝地近傍のため観光客と思われる。
ただ、呼び止められたのは名所より1㎞以上は離れた観光には不向きな場所。
駅までの距離と道順をざっくり教えて再び走り始めたが、しばらくしてモヤモヤしてきた。
聞かれた駅は、新〇〇駅、西〇〇駅、南〇〇駅と同じ地名の頭にそれぞれ違う冠が付き、地名のみを合わせると実に候補は4駅。
尋ねられた場所から新と西の距離は約3㎞、地名のみは約6㎞、南に至っては10㎞もある。
ひょっとして、早合点か。
俺はその方向にランニングしていたこともあり、一番近い「新〇〇駅」の道順を案内していた。
「新」って言ってたはず、いや、「西」か?
ただ、地名のみは除外だ、確かに冠名は聞こえた。
残りは新、西、南。
尋ねられた時彼はスマホを持っていた、当然目的地を検索していたはず。
そのうえで「南」はない。時折小雨とみぞれが降る中、徒歩で山越え10㎞は俺もいやだ。
やがて疑心はウソ情報を伝えたかもしれないという申し訳ない気持ちに変わる。
新か西、距離的にもおそらくはこのどちらか。
これらの駅には特徴がある。
「西」は開業当時のレトロな木造モルタル駅舎で国の登録有形文化財に指定されているらしい。
対して「新」は全国的にも珍しい在来線がない新幹線のみの駅。
引き返し聞き直そうかと思いもしたが、残念なことにすでに俺ゾーン(走り続けるとやがてやってくる気持ち良い時間帯)に突入。そのためか、気持ちが切り替わり「良いほうへの解釈」という自己弁護が始まる。
今や体重100㎏超の当時10代次男と「西〇〇駅」
そのうちまた一緒に走れれば父はうれしい。
彼は在京サラリーマン、週末に西方へ出張しホテルのフロントマンから名勝地の情報を得る。
せっかく本州の端まで来たし今日土曜は休み、有名な橋を見物しに「西〇〇駅」に降り立った。
徒歩で向かうと昼飯時になり近くの食事処で押し寿司を食べる。
休みの解放感から地酒を引っ掛け、若干千鳥足で有名な橋を渡る。
渡り切った先にはソフトクリーム店があったが、ソロで中年男性ソフトクリームは気まずいしなにより寒い。ここはさらに地酒で体を温める。
そこからまっすぐ行けば見どころはそこそこある、が、月曜の会議が頭をよぎる。
酔った頭をクリアにするため寂れた方向へ歩を進めた。
気づけば1㎞は歩いていた。
うお、寒っ、もういいか、タクシー拾って帰ろう、ていうか野焼きしてるような田舎じゃタクシーアプリも圏外か。
「新〇〇駅」までは3㎞、歩くのは慣れてるが・・・本当にこんな山奥に新幹線が停まる駅があるのだろうか…。
そこにイケメンが現われた、ということにする。
2㎞の上りから緩~い3㎞くらい続くご褒美の下り。
これは良いコース見つけたぜ!

