愛される会社のすごい仕組み

会社では、中小企業が取るべき戦略として、「ランチェスター戦略」を学んでいます。

『ビジネス界の巨人を倒せる「ランチェスター戦略」』人生に必要な「戦略」ビジネス、さらには人生のなかで「競争」することに迫られるときがあります。その結果、優劣や勝ち負けを付けられますが、どうせやるなら最初から負…

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一つの分野に戦力を集中させることで、多数の分野で勝負するよりも勝てる可能性が高まるという戦略です。

自分が勝てそうなニッチな市場を見つけることも求められます。

戦略を学んでいるなかで、ふと目についたのがこの本です。

この本は、カンサプ株式会社の社長である岩本修一氏が書いた本です。

どんな会社かというと、「ラーメン屋」です。

「らーめん岩本屋」として、1999年に１店舗目を福井県敦賀市に屋台として出店し、2023年1月現在は、県内を中心に北陸で32店舗の展開を広げている会社です。

2022年の売上高は過去最高の14億円を記録しました。

今では北陸のラーメンチェーン店として2番目の規模を誇るといいます。

元々大のラーメン好きな私もよく足を運んでいるお店です。

もともと、福井県は「ラーメン不毛の地」ともいわれ、

越前そばが代表するように、麺類というとそばが主流の地で、有名ラーメン店が進出してもすぐ撤退、というような文化が根付いていた場所でした。

たとえラーメンを食べるとしても五目ラーメン一択。

そこに背油入り豚骨ラーメンを浸透させたのが、らーめん岩本屋です。

岩本氏は、東京で食した豚骨ラーメンの味に感動し、「このラーメンを福井県に広めたい」という想いで研究を重ねて今のラーメンを完成させたといいます。

すると、それが福井県民にも大歓迎されました。

以前からの大手ラーメンが受け入れられなかったときの違いは、福井県民の知らなかった味と、後のマーケティングで知ったといいます。

余談ですが、私一番のおすすめメニューは冬季限定の「ベジポタ味噌らーめん」です。

話は戻って、

企業して20年弱でここまで展開できたのは、ラーメン作りに集中してきた結果だと思います。

筆者の岩本氏は今までのラーメン店を経営してきた経験のなかで、

成功した要因に「お客様目線であること」を記しています。

この会社では

『感動を届けるサプライズ集団』

という言葉を掲げています。

これは、お客様を喜ばせようとする意志の表れであり、会社そのものの仕組みでもあります。

どのような仕組みづくりをしているのか、本では詳しく解説しています。

先義後利の経営理念

「先義後利」とは、中国の儒学の始祖、荀子（じゅんし）の残した言葉の一つです。

「義を先にして、利を後にする者は栄え、利を先にして義を後にする者は辱められる」

という言葉から来ているとのことです。

まだ屋台で経営していた時代、ラーメンが予想以上に売れて、スープが切れかけていた日のことをよく覚えているといいます。

岩本氏は店じまい直前に来たお客様に

「今日はスープが１杯分ないので、すみませんがまたご来店ください」

と言います。

するとお客様は

「今日はラーメンを食べることを楽しみに来た。スープがある分だけでもいいから作ってくれないか」

と言われ、ご要望に応えるかたちで通常の半分の量で提供しました。

その時にはお代金も通常の半分で、とお伝えしラーメンを提供したところ、そのお客様は定価でお支払いして帰っていったのでした。

その出来事が今でも後悔としてあり、満足いただける商品を提供し、その対価をいただくことを経営理念を作るきっかけにもなったといいます。

岩本屋では、お客様からのご要望があれば何度でも味の調整をします。

・スープが濃いので、味を薄くしてほしい

・麺が柔らかいのでもう少し硬めがいい

・背脂をもっとたっぷりにしてほしい

そういった要望を受ければ、回数無制限で作り直しをします。

それを逆手にとって沢山の注文をする人がいて、利益を減らすような気もしますが、それもお客様の喜びを優先してのこと。

企業としては利益はその先にやってくる、という考えです。

全店舗でその経営理念が従業員のなかで理解できて仕組化が進んでいるからこそ、来店すると細かな味のカスタマイズを聞いてくれるようになっていると思います。

今では従業員４５０名を超える企業となっていますが、そうした躍進の裏側には経営者の「選択と集中」、そして「お客様の喜びを第一にする」といった姿勢があるからこそ今のラーメン岩本屋があると思います。

これら今我々の仕事でも同じことです。

お客様の喜びを第一に考えて行動することで、より利用してくれるなど利益としてリターンはあります。

目の前の利益よりも優先すべきものはなにか、それを改めて行動で示していく必要があります。

「集中する戦略」を取るラーメン屋さん