玲子さんは自分の立ち位置へと向かう。僕もその後を追って
向かおうとしていた矢先に、由紀の行動が加速する。
「 たかしは由紀の事をどう思ってるか分からないけど、
由紀は心臓が飛び出す位にドキドキしてるんだぞ。ほら。」
そう言って僕の片手を自分の胸へと導いた。僕の鼓動がその
行動に加速する。
「 ほらね、こんなにドキドキ言ってる。」
僕の掌に伝わる由紀の鼓動。僕の手を胸にした事でさらに鼓
動が倍増したのだろう、ドキドキの鼓動が早くなる。
「 ゆ、由紀・・・・・。」
僕はこの状況にどうしていいのかドギマギするしかなかった。
「 由紀の鼓動はたかしの鼓動とリンクするの。」
由紀は今度は僕の胸に自分の手を当てる。確かに僕の鼓動も
由紀の手に伝わったであろう。ドキドキが早まる。それはお
互いの気持ちを反映しているようだった。由紀の言ったよう
にお互いの鼓動が等しく動いているのが分かった。
「 お互い通じ合ってるんだよ。由紀はこれからもたかしの
鼓動とリンクし続けるわ。じゃ撮影に向かいましょ。」
由紀はあっさりと僕の手を放して、玲子さんの後を追って現
場に向かっていった。僕は暫らくその場に立ち竦んでいた。
ドキドキがなかなか納まらなかった。少し息を吸い込んでか
ら次に大きく深呼吸をして、僕も2人の後を追った。
「 たかし・・・・・。まだまだ女の子をリードするのは難
しいようね。・・・・・でも、ちょっと妬けるわね。」
遠巻きで見ていた内野だった。2人の行動に嫉妬していた様
子だった。ただその事は僕は知らない。