私を月まで連れてって 1 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。


アメリカに来てしばらくした頃、ふと思い出したのはセリのこと。

ホテルまで訪ねてきてくれた時はあまりゆっくり話ができなかったなと、テギョンは彼女に電話をかけた。


「嬉しい、こんなに早くまた会えるなんて思わなかった。」


ウェーブのかかった長い黒髪を揺らし、屈託のない笑顔を見せるセリ。

会えて嬉しいと思うのはテギョンも同じだった。それは子供の頃、病院という慣れない環境の中で不安に包まれていた心に、温かい光を注いでくれたのが彼女だったからかも知れない。

数ヶ月前に会っているとはいえ、その姿を目にしていたのはほんの数分のこと。頭の中には昔の姿の方が色濃く残っていて、そのセリとこんな場所で会っていることが何だか不思議に思えて、テギョンはフッと笑みを漏らした。

セリによく来る場所と案内されたのは1軒のログハウス。中はバーになっていて、カウンターとテーブル、合わせて20席ほどだろうか。クラシカルで落ち着いた内装。小さなステージでは店内より少しだけ明るめの照明の下、ジャズの生演奏の最中だった。

カウンター席に座りセリはマスターにテギョンを紹介する。

50代前半だというマスターは目尻にしわを作り、「ロイと呼んでくれ」と握手を交わすと、ステージにチラリと目を遣った。


「もともと俺がピアノで始めたジャズバーだけど今じゃメンバーも多くて。その日に来れるヤツが楽器持って集まるから毎日違う音楽が聴ける。気に入ったらまた来てくれ。」


演奏時刻は特に決められておらず、常に誰かが演奏していることが多いという。その言葉通り、ステージでは奏者が交代し、今は長めの髪をオールバックにした若い男がトランペットを吹いていた。


「セリが男連れなんて珍しいな。」


「昔の友達なの。」


ついさっきまでステージでドラムを叩いていた男が、額に汗を光らせながらカウンターへとやって来て、テギョンを値踏みするような目でじっと見た。

ぐいと近寄ってくる顔に多少たじろぎながらも、じろじろと不躾に見る男に、何なんだとテギョンは睨み返す。

あと数センチで鼻が触れるくらいまで顔を近づけた男は、青い目を細く光らせた。


「エマがいたら面白いのにな。あいつの好きそうな顔だ。」


ニヤッと笑うと男は奥へと姿を消した。


「何のことだ?」


「あ、うん・・・ここでピアノ弾いてるエマっていう娘がいるんだけど、惚れっぽいのよね。で、かなり積極的。今までの感じからするとテギョンってエマの好みだと思う。まあテギョンにはファンがものすごくたくさんいるんだし、”テギョンのことが好き”って娘が一人増えたってどうってことないと思うけど。」


どこかで聞いた台詞だなとテギョンは思いを巡らせる。ほどなくして思い出したのは、それが以前自分がミニョに対して言った台詞だということ。



『俺は多くの人から愛されるスターで、ファンクラブには100万人の会員がいる。俺のことが好きなやつが一人増えたって大丈夫だ』



自分としてはミニョの心を繋ぎとめておきたくて、精一杯伝えた言葉だったが、どこか気持ちがかみ合わない会話に首を傾げながらも、嬉しかったのを思い出す。

隣でセリがしゃべっているがその内容は頭上を通り越し、テギョンはあの時の思い出に一人浸っていた。


店内がざわついた。それは一人の男がピアノの前に座ったから。


「テギョン、運がいいわよ。ロイが弾いてくれるなんて滅多にないんだから。」


最近は演奏は若手に任せ、自分は客と話しながらシェーカーを振る方が楽しいというロイが、客からのリクエストでピアノを弾くのは本当に珍しいことだという。

白いシャツの長い袖を捲るとしなやかな筋肉が現れ、ロイの長い指が細やかに鍵盤の上を走った。

音が指から溢れ出し、瞬く間に辺り一面に広がっていく。

シェーカーを振るのも好きだがピアノを弾くのはそれ以上なのだろうと思うのは、ロイの楽しそうな顔を見れば一目瞭然。

88鍵をフルに使いこなすダイナミックな演奏に、テギョンもすっかり聴き入っていた。




。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆ 。.:*゜゜*:..☆



ども、お久しぶりです。

暑い日が続きますね~

しばらくぶりの更新なんで、余計に手に汗かいてます(;^_^A




本編更新中からPCの調子が悪くて、お休みしてる間に修理に出すか、買い替えるかって考えてたんですが・・・

更新やめたらPCほとんど触らなくなっちゃって、結局そのまま。


ああ、時々画面が消える・・・((>д<))


早く何とかしとくんだったーと後悔してますヽ(;´ω`)ノ



でも、とりあえず更新はできそうだし・・・・・・




ま、いっか♪(*^▽^*)






これは 『You're My Only Shinin' Star』 の番外編です。

315話と316話の間のお話。

セリはテギョンが子供の頃、入院してた病院で仲良くなった娘です。(憶えてますか?)


アメリカに行ってる間に、こんなことがあったんだよーって、ただそれだけのお話なんですが・・・

1話完結じゃなくて、ちょっとだけ続きます。



しばらくお付き合いください o(^-^)o




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