部屋の灯りは消してあった。
特別な月を眺めるのに、人工の光で邪魔をされたくなかったから。
蒼白い満月の光はいつもよりも明るく、闇にたたずむ二人の姿をくっきりと浮かび上がらせる。
少しだけ上がった口の端と、細められた目。
普段よりも何倍も妖しい色を放つテギョンの表情に、ミニョの心臓は大きく鼓動した。
近づいてくるテギョンの唇に思わず数歩あとずさったミニョだったが、その身体は腕を掴まれるとたやすく引き寄せられた。
密着する二人の身体。
「え、えっと、あのっ、ここ、ベランダですけど」
「だから?」
うわずったミニョの声とは反対に、テギョンの声は落ち着いている。
耳元で息を吹きかけるようにして聞かれ、ミニョの身体はピクリと震えた。そしてミニョが問いに答える前に、その唇は塞がれてしまった。
はじめはふわりと重ねられただけだったキスは、角度を変えつつすぐに深い口づけへと変わっていく。
絡められる熱い舌。
「んんっ・・・」
ミニョの塞がれた口の奥からは、くぐもった声が漏れた。その身体が崩れそうになると、テギョンは片腕でミニョの腰を支え、もう片方の手を膨らみへと伸ばしていった。
しばらくの間、服の上から柔らかさを確かめるように動いていた手は、やがてブラウスのボタンを一つ二つと外し始める。あっという間にブラの内側へ入り込んできた指に胸の頂を弄ばれ、ミニョは息を詰めた。
暗いベランダで、軽いキスなら今までにもしたことはあった。でも、月明かりの下、まさかそれ以上のことをされるとは思わなかった。
「あ、あのっ、オッパ、わ、私、今日すごく汗かいたんです。ですから、お風呂に入りたいんですけど」
このままだとこの場所で、もっとすごいことまでされてしまいそうで。
胸を包む手を咎めるように掴んでいるミニョを見ながら、テギョンは口の端で笑った。
「そうか、なら一緒に入るか?」
「い、いえ、一人で入ります」
「ふ、ん・・・俺はシャワー浴びてきたからな。ゆっくり入れ」
開いた胸元を両手で押さえつつ、ミニョはその場から逃げるようにベランダを後にした。
「風呂か・・・」
慌てた様子のミニョの姿に、テギョンはクッと笑いを漏らした。
この場所でもう少しミニョをその気にさせてからベッドへ連れて行こうと思っていたが。ここから逃げる為とはいえ、自分から風呂へ入りたいと言い出すとは・・・
「誘ってるのか?」
ふつふつと、身体の奥から笑いが込み上げてくる。
「期待には応えないとな」
明るく蒼い静かな光を全身で浴びたテギョンは、満月にくるりと背を向けると、ミニョの後を追うように部屋の中へと入って行った。
驚くだろうなとは思っていた。そして思っていた通り、突然ドアを開けたテギョンにわたわたと慌てるミニョの姿は、見ていて楽しくて仕方ない。
「オ、オッパ、シャワー浴びてきたって・・・」
「風呂に入らないとは言ってないだろ。疲れてるから、ゆっくりと浸かりたいんだ」
慌てすぎて、身体にまだ泡が残ったままバスタブに飛び込むようにして入るミニョを横目で見ながら、テギョンは熱いシャワーを頭から浴びた。
「じゃあ私は出ますから、オッパはゆっくりと入ってください」
テギョンが湯に足を入れると、入れ替わるようにミニョが出て行こうとする。その手をつかまえ、再びミニョを湯の中に引きずり込んだ。
「こっちの方が疲れがとれる。それに・・・」
軽く膝を曲げて開いた脚の間にミニョを座らせ、後ろから抱きしめるようにミニョの身体を閉じ込めた。
「お前が誘ったんだろ?」
「私、別に誘ってなんか・・・」
「汗をかいたから風呂に入りたいだなんて、俺の目の前で言っておきながら、誘ってないなんて、通用しないぞ」
テギョンは目の前にあるミニョの首筋に唇を寄せた。
「あ、んっ・・・」
ミニョの身体がわずかに震えた。
テギョンの手はミニョの胸を優しく包み、その感触を楽しんでいる。
つん、と主張をはじめた膨らみの先端を、指先でそっとつまむようにこねると、ビクリと動いたミニョの身体が湯を波立たせ、浴室には艶を帯びた甘い声が響いた。
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あ、あれ?終わらない~(;^_^A
後編に続きますm(_ _ )m
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