好きになってもいいですか? 7 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。

目を開けると、私は知らない場所にいた。

一瞬アフリカの病院で目覚めた時のような不安に襲われる。

部屋の中をキョロキョロと見回し、隅に置かれたスーツケースとバッグを見てちょっと考えた。

ああ、そっか、ここはお兄ちゃんのいう”合宿所”っていうところだ。

安堵のため息をつき時計を見ると・・・午前八時!

泊めてもらうんだから食事の支度とか掃除とか、とにかく自分の出来ることをしようと思っていた私は飛び起きると、身支度を整えて部屋から出た。

痛む足をかばいながら廊下を歩き階段へ向かうと、同じように部屋から出てきたシヌさんに会った。


「おはよう、ミニョ」


「おはようございます、シヌさん」


控え目だけど爽やかな感じのする微笑みは、整った顔をより一層素敵に見せ、思わずドキリとしてしまう。


「すみません、朝ごはんの支度、お手伝いしようと思ってたんですけど寝坊しちゃって・・・」


「いいよ気にしなくて、まだ疲れがとれてないだろ?怪我だってしてるし、食事の支度も掃除も俺達自分でするから、何もしなくていいよ」


「でも私はここに泊めてもらうんですし、何もしないっていうのは・・・」


「まあとにかく、今は無理はしないで早く怪我を治すことに専念すればいい。ここのことはそれからでも構わないから」


「すみません・・・ありがとうございます」


「下行こっか、ご飯食べよう、もう出来てるから」


シヌさんの優しい微笑みに、私は心の中が温かくなるような気がした。




右足を一段下ろしてそこに左足を乗せる、右足を一段下ろしてそこに左足を乗せる。

スリッパの、ペタン、ペタンという音を響かせ、一段ずつ階段を下りる。

左足をかばいながらだから、こうじゃないと下りられないのよね。


「慌てなくていいよ、ゆっくり下りよう。ほら、気をつけて」


「はい」


シヌさんに声をかけられ足元を見ながらゆっくりと下りていく。途中まで下りると、一階の様子が少し見えてきた。


「あ、ミニョ!おはよう~」


明るく弾んだ声をかけてくれたのは・・・ジェルミさん。


「ジェルミさん、おはようございます」


私は顔を上げ笑顔であいさつをすると、再び足元に目を向ける。

そうしてやっと一番下まで下りきった私は、ふうっと大きな息を吐いて顔を上げた・・・んだけど・・・・・・

下にはお兄ちゃん、ジェルミさん、テギョンさんの三人がいて、なぜか驚いたような表情で私を見ている。

あ、ちょっと違うかな。その驚いた顔は私と、一緒に下りてきたシヌさんの二人に向けられているような気がした。


「ねえ、ミニョ・・・何で・・・シヌヒョンと、腕、組んでるの?」


ジェルミさんが固まったように身動きしないまま口だけを動かしている。

腕を組む?

言われた私は一瞬首を傾げ、自分の手を見て・・・・・・あっ!


「ち、違いますっ!これは腕を組んでるとか、そういうのじゃなくて、ちょっと貸してもらってただけで・・・」






二階から階段を下りようとした時、隣に並んだシヌさんがスッと私に肘を出した。


「足怪我してるんだろ?危ないから掴まって」


「いえ、あの、大丈夫です、一人で下りられます」


「ああ、この階段滑りやすいんだよな。途中で滑って落ちたらもっと怪我がひどくなるなぁ。ま、もしそうなったら今度はおんぶか抱っこで上り下りしてやってもいいけど・・・」


おんぶ・・・抱っこ・・・

私はシヌさんにそうされている姿を想像してしまい、赤くなった顔をぶんぶんと横に振った。


「だったら素直に掴まって。俺も仕事に行っちゃったらいつも手を貸してあげられる訳じゃないし」


ぐいっと私の方に肘を突き出すシヌさんの笑顔に何となく逆らえず、私はお言葉に甘えてシヌさんの腕に掴まるようにして、階段を下りていった。






「私が足を怪我していて危ないからって・・・す、すみません、ありがとうございました」


私は慌ててシヌさんから手を離し、ペコリと頭を下げる。


「あ・・・何だ、そうか・・・そうだったんだ、俺てっきり・・・」


ジェルミさんの固まっていた表情が動き出す。でもその顔は何と表現したらいいのか私には判らないような複雑な表情で。

ああ・・・図々しいって思われたかなぁ・・・いくら初対面じゃないっていっても、メンバーの妹だからって泊めてもらって、階段下りるのに手を貸してもらうなんて。


「今度は俺が手を貸してあげるよ、遠慮なく言って」


温かい言葉。

甘え過ぎかなって思ってたのに、こんな風に優しい言葉をかけてもらえるなんて。

シヌさんもジェルミさんもいい人だなぁ。

容姿がいいだけじゃなくて、きっとそういうところも人気がある理由の一つなんだろうなって思いながら、ふとキッチンへ顔を向けると・・・

そこには青い瓶を持って睨みつけるように私を見ているテギョンさんがいた。




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