好きになってもいいですか? 1 | 星の輝き、月の光

星の輝き、月の光

「イケメンですね」(韓国版)の二次小説です。
ドラマの直後からのお話になります。



はじめに・・・


このお話はここで 『本編』 と呼んでいるものとは別の時間軸のお話です。

ドラマの最終回直後に分岐したと思ってください。


初の 『パラレルワールド!』 (笑)


では、どうぞ・・・



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テギョンさんにコンサートで告白された日の夜。私はアフリカへ行く為に三日後には韓国を発つことを告げた。

私の意志が固いことが判ると口元を歪めながら許可をくれたテギョンさんは、出発までの僅かな日数を私と過ごすと言ってくれた。






「どこか行きたい所はあるか?」


修道院まで迎えに来てくれたテギョンさんにそう聞かれたけど、これといって行きたい場所は思いつかない。正直、一緒にいられるなら、どこだって構わない。

返事に詰まっていると、「とりあえず出かけるぞ」と、車に押し込まれた。

助手席に座り隣に顔を向けるとハンドルを握るテギョンさんの姿。

緩んでしまう口元を引き締めつつ、チラチラとテギョンさんへ視線を向けていると、こっちを向いたテギョンさんと視線が合った。


「何だ?トイレか?」


「ち、違いますっ!」


恥じらいつつ、好きな人をこっそり見るという私の仕種がテギョンさんにはトイレを我慢してるように見えたなんて・・・なんかショック・・・




カフェに入り奥の席に座ったけど、何だか落ち着かない。


「テギョンさん、こんなに人の多い場所・・・バレませんか?」


周りに聞こえないように小さな声でしゃべる。

昼時ということもあり、店内はお客さんが多い。

つば付きのニット帽を目深に被り伊達眼鏡をかけてはいるけど、スターのオーラは隠しきれないみたいで、テギョンさんに気づいた人達がチラチラとこっちを見てはひそひそと話をしているのが見える。


「気にするな、どうせ昨日のことは世間にはバレてるんだ、隠す必要はない。まあ名前は伏せてあるから誰だか判らないけどな。それよりも、今お前が気にしなきゃいけないのは・・・その口のヒゲだ」


私の顔を見てクスクスと笑うテギョンさん。


「え?」


私は持っていたカプチーノのカップをテーブルへ置くと、慌てて口元を手で隠した。




出発までの三日間、映画を見てショッピングもして。

取り立ててどこか特別な場所へ行くという訳ではないけど、普段歩いてる街を二人で並んで歩くだけで妙にウキウキと楽しい気分になる。

歩幅の大きなテギョンさんはどんどん先に行ってしまい、おいていかれそうになるけど、そんな時は必ず立ち止まって振り返り、私が追いつくのを待っててくれた。

周りの人間のことは気にしなくていいと言ってたけど、人の多い大通り。テギョンさんに気づいた人達は徐々に増え、いつしか群がり、カメラを向ける人も多くなってきた。


「走るぞ」


テギョンさんはカメラの方をキッと睨むと私の手を掴み走り出す。

人を掻き分け角を曲がり走り続け、息が苦しくなってきた頃小さな公園へ辿り着いた。


「私は毎日子供達と走り回ってるんですけど、テギョンさんも意外と体力があるんですね」


ハァハァと荒い息の私とは違い余裕の表情のテギョンさん。


「お前、俺をバカにしてるのか?歌うのには体力を使うんだ、ジョギングだってしてるし・・・トラックにだって追いついただろ?」


トラックの屋根に乗っている私を必死で追いかけてくれた姿を思い出し、私は息を整えながら微笑んだ。

芝生にベンチがいくつかあるだけの公園はお年寄りが数人散歩してるだけ。後ろを振り向くけど、誰かが追いかけてくる気配はない。

私はホッとすると同時に握られたままの手に気づき、何だか急に恥ずかしくなった。

さっきは無我夢中だったけど、男の人と手を繋ぐという経験が皆無に等しい私は、私の手を握る大きくて力強くそして温かいテギョンさんの手をどうしても意識してしまう。

とっさに手を離そうとした私の手を、”逃がさない”というようにテギョンさんはしっかりと繋ぎ直すと、コホンと小さく咳払いをした。


「このままでいいだろ?」


少し逸らしたテギョンさんの顔が何だか赤く見えたのは、きっと夕焼けのせいじゃないわよね。私の顔が赤いのも夕焼けのせいじゃないもの。

私は小さく頷くと、テギョンさんに手を引かれるまま近くのベンチに腰を下ろした。

二人でたわいないおしゃべりをして、楽しい時間が過ぎていく。

冬の太陽は沈むのが早く、辺りはあっという間に暗くなってきた。


「腹が減ったな」


誰にも邪魔されずに食べられるようにとレストランの個室でご飯を食べた。

出てきた料理はどれもおいしくて、ついつい食べ過ぎちゃう。

「お腹いっぱいです」と言いながらも、運ばれてきたデザートのアイスをしっかりとお腹の中に収めている私を見て、テギョンさんは笑っていた。


ハンドルを握りながら「ずいぶん食べたな」と時々思い出したように噴き出すテギョンさんは、本当に楽しそう。私は隣でその姿を見ていられることが幸せだった。




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