主観的な出来は、ギリギリ守れてればいいなという感じ。
分量は、7ページ半分くらいだったはず。
まず、2号訴訟を選んでおり、ここで減点されます(笑)
基準レベル(レモンテスト)で争点を作ることはしませんでした。
学説のいう過度のかかわり合いという要件のあてはめが未経験であったことや、基準に振り回されて論述が乱れるよりは、多く挙げられている事実を出来るだけ拾って評価した方が守りの答案が書けると考えたからです。
判例の規範を原告で正確に挙げて、あとは、事実のピックアップと評価、特殊事情を私見で取り上げるという方針で書きました。
憲法
第1 設問1
1 いかなる訴訟を提起するか
本件では、Dは後述のように、BがA寺に支出した7500万円(以下、「本件支出」とする)が政教分離原則(憲法(以下、略)89条前段)に反すると主張する。
そこで、Dとしては、地方自治法242条の2、第1項2号に基づき、本件支出の無効ないし取消を求める住民訴訟を提起すべきである。
2 本案上の主張
(1)Dは、本件支出は政教分離原則に反するとして、違憲・無効であると主張する。
(2)まず、政教分離原則(89条前段)の趣旨は、①少数者の信教の自由を確保し、②国家・宗教双方の堕落を防止することにある。
そして、憲法は、国家と宗教との完全な分離を理想としたものである。
しかし、政教分離規定は、制度的保障の規定であって、国家と宗教との分離を制度として保障することにより、間接的に信教の自由の保障を確保しようとするものである。
また、国家と宗教との完全な分離を実現することは、不可能に近い。
そこで、問題となる行為の目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いが信教の自由の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合に違憲と考える。
具体的には、①当該行為の目的が宗教的意義をもち、②その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう。
そして、当該行為の行われる場所、施設の性質、当該行為に対する一般人の宗教的評価、目的及び宗教的意識の有無、諸般の事情を考慮し、社会通念に従って、客観的に判断する。
(3)目的について
ア まず、本堂、墓地、庫裏は、いずれも一体となって、A寺を構成するものであり、いずれについても後述のように宗教的色彩が強いといわざるをえない。
よって、これらの施設は一体のものとして検討すべきである。A寺が「宗教・・・団体」(89条前段)にあたるか。
イ まず、施設の性格として、A寺は、C宗の末寺とされている。
そして、建築形式も江戸時代の一般的な寺院の造りで建てられており、観音菩薩像が祀られている。
このような施設の性質を一般人が評価すれば、通常は、C宗の教義の信仰の場としてA寺が存在していたと考えられるはずである。
ウ 次に、A寺の本堂では、礼拝供養といった宗教的意義の強い催しが行われている。
この事情も、C宗の教義の進行として行われていたものと考えられる。
エ そして、たしかに、墓地については、パンフレットに「宗派は問わない」旨の記載が存在する。そうすると、C宗以外を信仰する者も埋葬を求めることができ、特定の宗教を信仰する性質はないとも思える。
しかし、実際にDが住職に問い合わせたところ、C宗の規則で、C宗の典礼方式で埋葬を行うことに同意した場合に限り、埋葬を認める運用がなされている。
このような運用をみると、実質的には、C宗以外の宗教を締めだすことに近い状況が認められる。
そうすると、やはり、パンフレットの記載は形式的なもので、C宗を信仰する者に限り(または、事実上優先して)埋葬するという実質が認められる。
オ よって、上記の事情から、A寺は「宗教・・・団体」にあたる。
(4)効果について
ア 本件支出は、総額7500万円に上る高額なもので、人口約1000人というB村の規模からすれば、決して小額とはいい難いものである。
このような多額の資金を支出すれば、一般人は、C宗に対する援助と捉えるのも無理はない。
イ また、その負担割合を見ても、墓地・庫裏については2分の1、本堂についても4分の1と、Bが一定程度の負担をしている。
このような半分ないし、一定程度の負担をBが負うことは、Bに落ち度がない本件においては、通常は考えにくいものであり、やはり、C宗を援助するものと考えられてもやむを得ないといえる。
(5)以上の通り、①目的、②効果の両者について、本件支出は相当のかかわり合いを越えるものとして、政教分離原則に反する。
よって、違憲・無効である。
第2 設問2
1 B村の反論
(1)政教分離原則違反の判断基準は争わない。
(2)目的について
ア まず、A寺における、本堂、墓地、庫裏はいずれも独立した施設であり、助成金も別個に支払われているため、個別に判断すべきである。
イ A寺の性質については、庄屋を務めていた村一番の長者によって創建されたものであり、何ら宗教的色彩を持たない施設として建設されたものである。
また、現在でも、全300世帯のうち、200世帯もの多くの世帯が檀家とされており、いわば、町全体の寺院として親しまれている。檀家ではない住民の相談を聴くなど、村民の憩いの場として親しまれている実態がある。
このような事情からは、A寺は、C宗の信仰を進める場としての性質が強いとはいえない。
ウ さらに、本堂では、上記の住民の相談受けが行われている。
そうすると、実質としては、町の相談所として機能していた側面が認められ、必ずしもC宗の教義の信仰が中心となっていたわけではないといえる。
(3)効果について
そもそも、本件の助成は、A寺の隣家からの失火が原因であり、A寺には何ら責任のない損失を埋めるためになされたものである。
そして、助成の決定も、同様に全焼した小学校に対する手続と同様に、補正予算として組まれたものである。
このような助成の経緯、方法に鑑みれば、あくまで失火による損失に対して原状回復を図る目的に基づくものであるといえる。このように考えると、金額が多額に上ることは、寺院の施設の価値が高かったことに基づく不可避的なことであり、考慮すべき事情にはあたらない。
そうすると、一般人としては、このような助成をみたところで、特別にC宗を援助するものと考えるとはいい難い。
(4)よって、①目的は世俗的なものであり、②効果においてもC宗を援助するものとはいえない。
したがって、 7500万円の全額につき、合憲・有効である。
2 私見
(1)政教分離原則違反の判断基準については、原告主張の判断枠組みが妥当である。
(2)目的について
ア まず、墓地については、Dが主張するように、パンフレットには「宗派を問わない」と記載してあるものの、実際にはC宗以外の者を埋葬するに際してC宗の典礼方式を強制するものであり、C宗の信者を埋葬する性質が窺える。
このような運用を踏まえると、A寺の墓地は、C宗の教義を信仰する者が死亡した場合にこれを埋葬するもので、最近増えてきた宗派を一切問わない寺院と同視できるものではない。
イ 次に本堂については、たしかに、Bが主張する通り、段階外の住民の相談を受けるということも行われていたようである。また、初詣等の世俗的な催しも行われており、村民の交流の場として親しまれていた事実ある。
しかし、信仰の中心となる礼拝供養が行われていたのは事実であるし、村民の相談を受けるということも、人々の相談を受けつつ教えを広めるという宗教の性質からすれば、信仰活動を関係がないものでもない。
そうすると、本堂で行われていた事柄の性質からは、C宗の信仰目的を否定できない。
(3)効果について
ア まず、本件では、隣家の失火により生じた被害の填補という側面がある。
たしかに、本来であれば、檀家から寄付を募って再建料を賄うべきとも思える。
しかし、本件では、B村の主産業は林業であり、本件の火災によって多くの村民が働く製材工場も全焼してしまっている。
そうすると、檀家の世帯においても自身の生計を立てるのに苦労する状況であることが窺われ、寺院の再建料を募っても、十分な資金が集まるとはいい難い。
このような特殊事情がある本件では、Bが一定額の再建料を負担することにつき、やむをえないといえると考えられる。
イ 次に、仮にA寺が火災保険に加入していなかったために本件の助成が必要になったとみることもできる。
しかし、創建以来、自然災害によって被害を受けることが全くなかったという事情の下では、A寺が火災保険に加入していなかったことに落ち度はないというべきである。
よって、この事情によって、本件助成の填補としての性質が失われるものとはいえない。
ウ 墓地については、必要費用の2分の1もの額をBが負担することになっている。
また、2500万円という額は高額である。
これに、上述のC宗の宗教的意義が依然として強く認められることを加味すると、本件の助成は、填補としての性質を考慮しても、C宗を援助するものと一般人が評価するのが自然と考える。
よって、墓地に対する2500万円の支出は、政教分離原則に反し、違憲・無効である。
エ 本堂については、必要費用の4分の1の負担であり、比較的Bの負担割合は小さい。
しかし、その額は4000万円と極めて高額である。
また、前述の通り、本堂で行われている行事や事柄については、宗教的意義を否定することができない。
このような本堂の性質を加味すると、4000万円の支出は、C宗を援助するものと考えられる。
よって、本堂への4000万円の支出は、政教分離原則に反し、違憲・無効である。
オ 最後に庫裏についての支出はどうか。
必要費用の割合は、2分の1と低くはない。
しかし、その金額は1000万円と比較的低額であるし、住職の住居であり、本施設で信仰行事が行われるわけではないため、宗教的意義が強いともいえない。
そうすると、庫裏への助成の支出は、一般人をして、C宗の援助を行うものとは考えられないのが社会通念に沿う。
よって、庫裏についての1000万円の支出は、政教分離原則に反せず、合憲・適法である。
以上