●遊馬さん、「粗忽の使者」、08/05。

 粗忽物としては比較的珍しい一席でしょう。「一服いたす」「いしき」「柔らの指南役」「尻っぺたの1貫や2貫」等の珍しい台詞を入れ、「力を入れるシーンでは顔を赤くする」熱演です。  

 真打になって15年、確実に上手くなっており、安心して聴いていられます。

●ひろきさん、「師匠と私」、08/05。

 相変わらず「素人くさい喋り方で客を引き付ける」と言う珍しい芸風を続けています。「笑点の楽屋には出演者・マネジャー・放送作家がいて・・・」の発言は「半ば常識になる、笑点の回答を考える専門の人がいる」事実を認める歴史に残る初めての発言でしょう???

 津軽三味線で「笑点のテーマソング」「男はつらいよ」「木久扇の出囃子」から「津軽じょんがら節」迄弾きましたが、バライテイに富んでおり、その間に挟む小噺も進歩しています。特に「遺伝子は進歩しているが・・・」が愉快でした。

●柳好さん、「目薬」、08/05。

 「娘の百合ちゃんと同じ誕生日で・・・」「森内名人と将棋を指した」「カミさんは缶酎ハイ」等のとても楽しいマクラから本題へ。

 途中で「真打披露の時やる落語じゃアない」の一言を入れ、中堅としての貫禄を見せます。「ベテランの黄門(肛門)様、助さん、格さん」も愉快で楽しい一席でした。

●萬橘さん、「看板のピン」、08/13。

 例によって眼鏡をつけてマクラ、眼鏡を取って古典。「前座に、俺の良い所を3つ挙げろと言ったら何時までですかと言われた」「博打は悲しみと言う利子をやり取りするもの」「もんじゃを食っている」等々かなりユニークな表現がありますが、「先に言っておくが、勝負は壺皿の中」等のポイントはキチンと押さえています。クスグリが非常に面白く、目新しさが目立つ一席です。「聴けて良かった」と思います。

●雲助さん、「浮世床」、08/13。

 「(先)馬生さんがよくワイワイガヤガヤ噺は出ているかと聞いたものだが、これはワイガヤ噺の代表的な物」「フルバージョンでやる」と意気込んだ一席。
 尤も、実際は軽く軽く進めます。「王様をどこへ張ろうか?」「抜き読みして呉れ」「女のいない国へ行きたいが金がない」「(酒を)飲むと浮気っぽくなる」等々珍しい台詞が入り、「ヘボ将棋」・「テーコーキ」・「女の夢」と続きますが、「小便の始末」等の汚い部分はさり気なく避け、後味の良い一席に纏めています。

●一朝さん、「芝居の喧嘩」、08/13、4席目。

 江戸っ子と来れば一朝さんの独壇場。舌鋒鋭く一気に語り掛けると思えば、中にわざと「受けない駄洒落」を入れて、ペースを崩す面白味も狙い大成功。流石ベテラン、自由奔放。完全に酔わせて戴きました。

 師である柳朝さんの33回忌とかで、マクラで思い出話。柳朝さんと温泉に行き、湯船の底が男女つながっていたので、柳朝さんが潜って女湯を見に行ったが戻ってきて「婆アしかいなかった」と言ったら、そばにいた老人が「ウチの家内です」。

●こみちさん、「台所の隅」、08/13。

 「古典落語に登場する女性はおかみさん、妾、芸者・花魁、お化けの4パターンしかなく、出し物に制約が大きい」「古典の男性を女性(主役)に変えたり、新しく女性を登場させるこみち噺を創っており100席近くある」と言い、今回は「客席に子供がいるので白鳥作のゴキブリの噺」。
 ところが、誠に珍しい事に「今回は受けませんでした」。噺そのものは「硼酸団子が主役の頃」で、「週刊文春に叩かれた」「右腕が何本もある」「(座布団の上で)ジャンプする蚤」「ハートになっていた眼がプログラムに落ちた」等面白いシーンや台詞があったのですが、受けませんでした。

 原因は、ヤッパリ「ゴキブリや鼠は汚いイメージが強かった」為でしょう。白鳥さんのような天衣無縫なら汚いイメージを払拭出来るのかもしれませんが、誠に残念ですが「お蔵入り」をお勧めいたします。

●さん喬さん、「千両みかん」、08/13、4席目。

 前にも書きましたが、2席目(R02/07、R02/11)はこの大ネタを15分未満でこなし、3席目(R04/08)では30分枠に収めています。

 今回は丁度中間の15分程度。それでも30分枠から「(昔の胡瓜は折るとパキン、中国ではペキン)フランスではパリ」「鐘の鳴る頃もう帰る頃井戸の西瓜の冷える頃」「(死んでない?)それは残念だ」等をカットして、ピタリと収める実力には脱帽です。イヤイヤ、凄いです。

●文菊さん、「親子酒」、08/20、2席目。

 気取った足取り。「ひきよう」「偶には止めてみるもんだ。酒ってもんは」「乾いた田圃に水が浸みわたるようで・・・」「田圃の気持ちが良く分かる」「眠れる獅子を起こした」等珍しい台詞が入り、帯に挟んでいた鼈甲か何かを前に置くのですが、なんですか、この所作は???分かりませんでした。

 飲むにつれて眼が座る等見事な演技ですが、鼈甲(?)が気になりました。

●伸治さん、「ちりとてちん、08/20。

 この噺と「長屋の花見」「垂乳根」は芸協にいたころの文朝さんから習ったが、言一句同じにさせられた師匠の文治さんと違って、文朝さんは「噺は自由に」やらせてくれた。

 「コロナの時期の1月7日、池袋演芸場で14時頃客が1人しか居なかった」「時そばを演じている時、一番前でカップヌードルを食べた客がいたが、食べ方は客の方が上手かった」「円蔵さんはよいしょが上手く車の他、土地を貰った事がある」「(先)文治さんは愛嬌はあるが、愛想は無かった」「(先)文治さんが色紙に桂小三治と書いた」「この辺が物でこの辺が尻(物知り)」「鼻をつまんで目をつぶり息を止める」等の楽しい台紙が入り、愉快な一席。更に、「己を捨てきった後の愛想笑い」にいつも感心させられます。

●百栄さん、「桃太郎後日譚」、08/20、4席目。

 「雉はやがて国鳥になる」「小林多喜二の蟹工船」「メンメン眼鏡は良い眼鏡」「人格が崩壊する」「カウンセリング」「家畜と鬼畜の争い」「AUのコマーシャル」等々意外な言葉が飛び出し、オチの「柿?僕にも一つ下さいナ」に至りますが、この噺、どうも後味が良くないのです。

●一蔵さん、「たいこ腹」、08/20。

 「趣味はダイエット、特技リバウンド」「足立区の独演会、日曜の午後なのに客が2人、1人はヘベレケ、1人は落語の素人」「ハリーコッター(鍼、凝った)、映画?」「(三遊亭)歌彦さんが人間国宝になった」「張り(鍼)のある暮らし」「ケチャップ」等々珍しいクスグリが入り、聴いていて楽しい一席。

●白鳥さん、「牛丼晴れ舞台」、08/20。

 「今年還暦、芸歴37年」「江戸時代のギャグで笑うんなら、昭和のギャグでも・・・」「落語家が浅草の牛丼屋で修業」「牛丼、牛の屋」「吉野家、松の屋、すき家」「牛ちゃん、印度人、ウチの牛丼には牛は使ってない」「隠し味は山村紅葉」「遺伝子操作したウズラの卵」・・・等々珍しい
台詞が入り、オチの「牛丼だけに丼勘定」に至りますが、肝心の「これが牛丼のハーモニー」で噛む。どうも、田代沙織嬢のインタビューを受けた後は調子を乱す人がが多い気がします??
 インタビューで緊張しすぎるのではありませんか???

●文珍さん、「ピ~」、08/27。

 「個人の意見です」「この物語はフィクションです・・・」の2枚のフリップを使つた西海徹(サイカイトオル)の選挙活動の噺。「1桁と3桁以外は女性の年齢は聞いてはいけない」「チャットGDPを使った失言をするとピ~と鳴る機械」等将に奇抜な発想に驚かされます。オチは「投票用紙にピ~としか書いて無く落選する」のですが、いかにも新鮮。

●たい平さん、「幾代餅」、08/27。

 「志ん朝さんのこの噺を聴いて感動し、弟子から教わった」「志ん朝さんの流れのままに・・・」「大谷の名言。人生が夢を創るのではなく夢が人生を創る。無理だと思ってはいけない、無理だと思った時点で終わる」「Wi-Fi環境」「喰い患い」「順に順に踏んでゆかなければ・・・」「世の中にはついて良い嘘がある」「親類面をして…」等初めて聴く台詞が入ります。  

 お気に入りの一席とあって、淀みもなく熱演ですが、逆に硬さも目立ちます。

 只、個人的には「あまりにも笑点の顔が目に焼き付いていてそれが邪魔になります」。私の中では、笑点でトップランナーとして大活躍している「たい平さんは落語家としては終わっている」とも言えます。仮に将来、一之輔さんにも同じことが起きるのなら、これ又一大事でありんす。

●桃太郎さん、「春雨宿」、08/27、6席目。

 06/04に5席目を聴いたばかりです。今回は「錆びたナイフ」をサービス。客席から手拍子が沸き起こりました。

●柳橋さん、「小言念仏」、08/27、3席目。

 「大学生に落語を聴かせ、なぞかけを出したら傑作が・・・」「ブランコとかけて乙女の心と解く。こいで揺れます」「ノートとかけて水虫と解く。書いたり写したりする」「なんでТV消しちゃうんだ?」「(赤ん坊の糞が)一個おっこった」等々楽しいギャグが入って、悠々迫らぬ噺っぷりです。
 流石ベテラン。田代沙織嬢のインタビュー後でもペース乱さず。いつまでも聴いていたい感じがする一席でした。