雨の日はつらくなる
いつもの夜だったのに
まだ帰ってこないパパ
最近はますます帰りが遅い
子供たちを寝かしつけ
一人になり
二階の寝室から外をみていた
車のライトが見える
帰ってきた
車内のパパが暗がりでみえる
携帯をいじっている
まだ家に入ってこない
そんなこと
慣れたはずなのに
今日は苦しい
今日はダメだ
玄関で待つ
帰ってきたパパは驚いた様子
『もう離婚しましょう』
自分でも思いもしない言葉がでた
久しぶりにみる
パパの素の驚いた顔
『私もう限界です
彼女にも慰謝料請求はします
パパにもしっかり精算してもらいます』
離婚したくないのに
気持ちと裏腹にでる言葉
『明日でいいだろう』
パパの言葉をさえぎり
『彼女をとるか
私たち家族をとるか
今すぐ決めてください』
返事はなく
無言で部屋へ行ったパパ
家族に決まってるだろ
そんな言葉を期待した
絶望と失望
心が限界
雨のなか
家を飛び出した
1人になりたい
こんな生活もうやだ
このまま消えてしまいたい
もう頑張れない
泣きながら裸足で
夜中の道を走った
雨の中
誰かに見られるとか考えられない
もう心が壊れてたと思う
『わかったから
もういいだろう』
腕をつかまれ
家に連れ戻された
パパは次の日から帰りがはやくなった
でも彼女と別れてないのはわかってる
20年前
私は一度死にました
20年たち
パパの隣にいる私
純粋にパパを愛して
尽くした私はもういない
20年前にパパと彼女に
心を殺されたから
私は愛する人を信じることが出来なくなった
悲しい人間になった