魔女の心臓2巻感想
人魚回は前回にまとめてしまったので、続きから。~第9話~人狼と少女の恋のお話。イケメンで物静かで知的な人外さん、一途などじっ娘、おねえちゃんの幸せを思って身を引く弟くん…非常に好みです、萌え的な意味で。「違う種族の者同士が共に生きる事をどう考えていますか」おちゃらけて見えて実は一番ひねくれているルミエールくん、コンプレックスの核心をつくだろう質問を受けるも、そこには触れずにちゃんとアドバイスしてあげてます。悩んでいる人には優しいです。そしてそう簡単に弱みは見せない。…11話以降の伏線なんだろうかこれ。ということに今気づいた。「料理に愛情を込めるって、愛があれば何でもいいって事じゃなくて」これで始まる一連の台詞、すごく綺麗でひたむきで説得力があって素敵です。なのになんであんなオチになってしまうのか。~第10話~裏路地生まれの花売りのお話。この話ねえ、私すごく好きなんです。引くほどバッドエンドなんだけど。このお話全体が、次回のニナちゃんとルミエールの会話への伏線にもなっている、というか、それによって「ああそういうことか」と思う部分はたくさんあるので、これだけ読んで「!?!?」と思った人はぜひ11話も読んでほしい。とはいえ、単体でもすごく良いお話だと思うの。マリーはすごく魅力的なひと。ミカちゃんとマリーの初対面シーンは素敵です。踏まれた花を買おうとするミカちゃんに、マリーは「施しは受けない」と言うんだけど、全然激高することもなくて、「ありがとう」までちゃんと言ってる。ミカちゃんも、すぐに「浅慮だったわ」なんて言えちゃって、お互い大人だなあと思うの。意見が違ったら、その時点で、相手の人格そのものを遠くに感じてしまうのはよくあることで、「それとこれとは別」ってわかって気持ちを伝えあえるって、なかなかできることじゃない。で、あの結末ですよ。すごいね。マリーがミカちゃんに見せた笑顔は、嘘ではなかったと私は思う。人と人として会って、「良いやつだな」ってきっと思っていたんだろうけど。これもまた「それとこれとは別」ってことなのかな…ただ、あんな結末だとしても、マリーが魅力的なことに変わりはない。すごく一生懸命、自分の気持ちに正直に生きているから。死体を横目に、何事もなく街は続いていくし、ちびっこたちもすぐに、マリーなしで生きるすべを身につけるんだろう。次の回でニナちゃんも言ってるけど、ひとり死んでも、世の中って簡単にその穴を埋めてしまう。そんなこと山ほど見てきたはずなのに、素直に涙を流せるミカちゃん。一方、同じものを見て聞いて、「姐さんが心配」というところに感情を落とし込んでいくルミエール。3巻を読んだ後でこれを読むと、ルミエールは「姐さん第一」ってスタンスに立つことで、いろんなことから心を守っているんだろうなあ、という気もする。~第11話から第14話~ニナちゃんが怖い。最終回まで読んでからこっちのニナちゃん見るとびっくりする。というわけでルミエール編。なんせミカちゃんの旅がすごく長いので、基本的に時間の感覚がよくわからない魔女心だけど、この時のルミエールが「せいぜい百歳」、ミカちゃんは「旅をしてもう五百年に近い」という台詞から、なんとなく時系列が見えてくる。どうやら、ミカちゃんにとってもルミエールにとっても、一緒に旅をしていた時間はそんなに長いわけじゃないらしい。長く見ても五十年とかだろうか?いや人間基準ならそうとう長いけどね。しかし…百歳にしては中身が幼いよルミエール!?寿命が長いと成長もゆっくりなのかい?(そういえば生きた時間と徳は必ずしも比例しないってミカちゃん言ってた)これから知り合う、大切に思うであろう全員を、自分が看取らないといけないつらさ…って、まったくもって想像するしかないけど。ミカちゃんは自分を置いていかないから、心置きなく好きになれる。と同時に、同じ種類の苦しみを持ったミカちゃんと一緒にいることで、苦しみが自分だけのものではなくなる。というかルミエールの場合「自分だけのものではなくなる」を通り越して「自分のものではなくなる」くらいまで行っている気がする。まあこう書くと健全じゃない感じするよね(笑)ただ、人に依存するのが悪いこと、なんて言い始めたら、この世の人間関係はほとんど破綻するだろうし。そんなことより、一緒にいた、一緒にいる事実が大事なわけであって、お互いが大切で一緒にいたいならそれで良いんだよね、ということで。「やっぱり独りはさみしいよ」っていう台詞が、けっこうすべてを物語っている気がしたのでした。★魔女心感想:1巻①②/2巻/3巻/4巻/5巻/6巻①②/7巻/8巻★★他の感想記事はこちら★