一昨年の夏の終わり、数週間前からFRONT9のお客の中に面白い人が来るようになっていた。
ある日お店の近くでボクがいつも通り車で待機していると、この人に運転席の窓をコンコンとたたかれた!?
するとこの人が『にぃちゃん。今日の送りなぁ、ちょっと先まで走ってもらうけど大丈夫かぁ?わりぃーけど頼むなっ。』と言ってポンと封筒を置いていった。
その後で中身を見たら、なんとピン札で十万円とメモが入ってた。
カッコいいじゃねぇか、と思った。
これがこの人、ロクさんとボクの最初の出会いだった。
しばらくすると、ロクさんが女の子を連れて向こうからゆっくりと歩いてきた。
ボクはあれぇ?と思った。
だって、店の人気上位三人の女の子と、人気薄で格下の女の子を一人連れてきたからだ。
大体人気のある子はまず送ったことはない。
こんなワンボックスにはまず乗らない。
目を疑う光景だし、変な組み合わせだった。
それでも、スライドドアを開けると『おつかれさまでーす。』とあいさつをかわしながら、ワイワイと乗り込んできた。
多分みんなで一緒だからという部分とボクが送るというコトで安心感もあったんだろう。
女の子は、まどか、あいり、ゆうか、はるな。
簡単に説明する。
まどかはFRONT9の一番人気。
長身でスタイル抜群の色気プンプンな21歳。
あいりは二番人気。
小柄で派手な感じの20歳。
三番人気がゆうか。
イケイケ感のある19歳だが店では20歳。
そして、はるな。
残念ながらやや太めの25歳でパッとせず、いつも格下扱いだ。
さて、ロクさんの『にいちゃん。行ってくれやぁ。』の掛け声を聞いて車を走らせた。
そのロクさんの掛け声に、
まどか :『ロクさん、にいちゃんじゃなくて、キューちゃんよ。』
ロクさん:『なんできゅーちゃんなんだよぉ?』
まどか :『だって送ってもらってる子がみんなそーいってるの。』
ロクさん:『バカ、それじゃ、りゆーになんねーつぅーのぉ。』
はるな :『急発進、急ブレーキがヒドイからです。・・・。』
ロクさん:『なんだよ、そんなことでかよ。がっはっはっ。』
あとは、適当に後ろで騒いでいるみんなを乗せて車を走らせていた。
深夜の零時を過ぎているから順調快適。
途中、ロクさんの指示で豪華マンションの地下駐車場へゲートイン。
一台ごとのスペースがとてもゆったりしているし高級車がズラリと並んでいる。
ロクさん:『きゅーちゃん。セキュリティーカード取って来てよぉ。そこのさぁ・・・。』
ボク :『わかりやしたぁ。』
ピカピカに輝くシルバーのSLだ。
ペタペタに低いし、ごっつい足回り。
乗りてぇーと思いつつも、目的地のハーバーのセキュリティーカードを首から下げて車に戻った。
ロクさんが言うには、そこに並んでいるもう一台のでかいSシリーズやBM、911、あとパールホワイトのセダンは彼女の車だそうだ。
この豪華マンションを出てハーバーに到着したのが深夜の一時ちょっと前。
セキュリティゲートを三回通過して、ウッドデッキをみんなで歩く。
停泊しているクルーザーやヨットがゆっくりとふわふわ波にゆられて動いている。
深夜の星空の下、海面がすぐそこにあるという恐怖心の中、コツコツというヒールの足音と小さくギュギューという浮きのひしめく音。
チャプンとかカプゥンという波の音。
自然とみんなの声がささやき声になっていた。
ロクさんってすげぇカッコいいなぁ、と思った。
豪華マンションに高級外車、深夜のハーバーでクルーザー、まるでドラマのワンシーンだ。
これじゃ女の子達もたまらないよなとも思った。
ロクさんってどんな商売してるんだろう?
とても気になるのは女の子達もきっと一緒だろうな。
と考えながら、後ろ側から観るヒールで歩くまどか、あいり、ゆうかのきれいな脚はとてもそそるものがあった。
でもなんでボクのとなりを店で人気薄のはるなが一緒に歩いてんだっつーの。
仕方ないか・・・。
そして、ロクさんのクルーザーの前までやってきた。
他のよりもかなり大きい。
ボクはいまいち勝手がわからない。
ロクさんは『きゅーちゃん。みんなエスコートしてやれよ。』と言いながら自分だけさっさと飛び乗って船室に入っていってしまった。
ハーバーのウッドデッキから船の後ろのデッキに乗るには軽く飛び移る感じになる。
波によって揺れているから、船が数十センチ離れたり近づいたりする。
近づいたときにポンッと軽く飛び移るだけだけど、経験がないととても怖い。
ボクが先に飛び移って、右手を差し出し最初にまどかが挑戦した。
大げさでなく本当に挑戦という雰囲気だ。
腰が引けたまどかの左手に触れながらタイミングをとっていると、いきなりジャンプしてきた。
いきおいよく飛んできたので、おもいっきりまどかを抱きかかえる形になった。
ボクの腕の中でまどかが小刻みに震えながら笑っている。
店で一番人気のあのまどかの胸とボクの胸がくっついている。
スゲェーいいにおい。
たまらねぇー。
この時は、この一瞬がとても長く感じた。
それを見たあいりは用心深くヒールを脱ぎ、はだしで飛んできた。
でもやっぱり力が入っていきおい良く飛んできた。
支えるボクも正直必死だ。
受け止めなきゃカッコが悪い。
ここで笑いはいらないと思った。
こういう時って、女の子はなぜか一人ひとり違う仕草をしてアピールする。
ゆうかは脱いだヒールを先にボクに渡し、こわいよーっん。
とその場にしゃがみこむ。
丸見えだ。
たまらねぇー。
どうみても甘えん坊大会だ。
だから強引に引き寄せた。
あとは、はるな。
ここは笑いを取る所だ。
お約束で無視して船室に行こうとすると、はるなが『きゅーちゃん!まって!』のつっこみ。
みんなで大爆笑。
ボクは当然『おまえのこと支えきれるかな?』なんて冗談を言いながら、いよいよ船室へ向かう。
船室は豪華なリビングルーム、ソファーに大型ビジョン。
冷蔵庫やシステムキッチン。
当然、すべて揺れてもいいようにロックされていたりする。
ロクさんに呼ばれて奥へ行くとシャワールームやトイレ、二段ベッドとメインの寝室などがあった。
そして、船のエンジンがかかり、ボクはロクさんの指示通りに外に出て船の周りのロープをはずして放り投げた。
最後に船首からのロープをはずして船に向けて放り投げると同時に飛び乗った。
こりゃー結構怖いものだ。
数分で少し沖の湾内に停泊。
さっき車で走ってきた湾岸が遠くに見える。
ダウンライトにすると船室内のムードは最高。
持ってきたオードブルをつまみに飲みまくる。
小さめのソファーでくっつく両サイドのあいりとゆうかの脚がたまらなく気持ちいい。
ロクさんがまどかの脚をいやらしく触っているのが見えたので、ボクも調子に乗って左側のあいりの脚と右側のゆうかの脚をたまにタッチしながらとぼけていた。
怒られなかったから、笑い声を出しつつも少しずつ脚に触る回数と時間を増やした。
たまらねぇー。
やりてぇー。
深夜の二時過ぎ。
がまんするので精一杯だ。
大体、運転手のボクが店の女の子とやっちまったら、ボクも女の子も店に高額の罰金だしクビになる。
それですめばいい方だろう。
アフターで来てるから当然、着替えもしてない。
店はクラブで生脚禁止だからタイトな短いスカートから見えるストッキングをはいた脚は、やっぱりそそる。
なめてぇー。
そうしたら、ロクさんがとんでもなくありがたいこと言い出した。
これから起こることで、ボクは人生の考え方が変わることになる。
こんな世界もあるんだ・・・。
つづく・・・。

