関東インドア選手権があった。

母校は見事準優勝。

正直優勝できた。そのぐらい強くてうまい。

でも何故か心の底から喜べなかった。

自分達の記録を抜かれたからか。負けず嫌いな自分からすれば納得できる理由である。

別に顔見知りの代じゃないからだろうか。

テニスから逃げた自分にとっては羨ましかっただけかもしれない。

ただ一番は母校が母校じゃなくなった事にあると自分は思っている。

松高を見ている気がしなかった。

ベンチコート、円陣、ハーフパンツ、応援、これらの変化は初めは驚いたが別にこの時代、どれも普通だ。
問題は根底にある。

松高魂である。

感じられない。

強くて、うまい。それだけ。

それがショックだった。

時代の流れだろう。でもその伝統だけは受け継いで行って欲しかった。


試合の内容としては最高だったと思う。

正に監督の理想のプレイスタイル。

後衛主体とも言える戦術であるが一流の前衛が居てこそ完成するスタイル。

後衛の打球力で相手を崩し、逃げて来たりコースを変えてきた玉を前衛が決める。

前衛は要所ではポーチに出るが必要以上に後衛のラリーに干渉しない。ゲームを崩す恐れがあるからだ。

しかしながら前衛は来た玉を逃さない。

自分の後衛に不利なボールを通さない。

何よりクレバーな状況判断、熱くならず、冷静にゲームをコントロールしている。

自分にとっても理想のスタイルだった。

あーあテニス上手くなりたいな。
もう何回聞いているだろう。

この曲を初めて聞いた時自然と涙が流れた。

こんなに自分の気持ちを表している曲は無いと思った。

「会いたい」その一言を言って貰いたかった。

気付かなかった。いや、気付いていたが自分の事で精一杯で相手の事を考えられなかった。

失ってその大切さが分かった。

俺はバカだった。


今はただの友達。

でも昔のような友達にもなれない。

得たものも失ったものも多い4年間だった気がする。