みなさま初めまして。
自分の勉強のために読んでいる
海外のjouranalに載った論文などをご紹介するブログです。
読んでいるとおもしろいことがたくさん書いてあるので
少しでも誰かと共有したい、
共有してくださったみなさまの
新しい研究や臨床のアイデアになればよい、
と思い始めました。
こうしてブログにしておくと、
あれ何だっけ?と思ったときにいつでも探しやすい、
というのもあってのことです。
journal clubで発表するのとかとは違って
ほんとに斜め読みしてしまっているので
間違っているなと思われるところがありましたら
ご指摘いただけますと幸いです。
さて、今回は2019年6月24日の
nature medicineオンライン版に載った
Meta-omics analysis of elite athletes identifies
a performance-enhancing microbe
that functions via lactate metabolism
をご紹介します。
論文紹介する、とか言っておいて
いきなりletterで申し訳ありませんが、
趣味ブログですのでご勘弁を。
こちらの論文ではアスリートの腸内細菌と
アスリートのパフォーマンスの関係を調べています。
マラソンランナーの腸内細菌叢を
メタボロミックに調べたところ
運動の前後でVeillonella属の数が一番変わってますよ、
ということがわかりました。
アスリートの腸内細菌叢からVeillonella atypicaを
分離してマウスに投与したところ、コントロールの
L. bulgaricus(乳酸を代謝できない)を投与されたマウスに比べて
長い時間トレッドミルを走ることができました。
Veillonella atypicaは
乳酸を代謝して短鎖脂肪酸の一種である
アセテートとプロピオン酸に分解してくれるんだそうです。
運動後は腸内でVeillonella atypicaによる
methylmalonyl-CoA pathwayの遺伝子発現が
亢進していることも確認されています。
じゃあ、血中で上昇した乳酸が腸管内に移行し、
そこで分解されるから、
(放射性同位体で標識した乳酸が腸内に移行する
ことを実験で確認されている)結果的には
血中の乳酸濃度も下がるってことでいいよね?
と思いきやマウスにVeillonella atypicaを投与しても
血中の乳酸濃度はほとんで変化しませんでした。
そこで、だったら結果としてできる
プロピオン酸がいい働きをしているんじゃない?
ということで、マウスのお尻からプロピオン酸を
投与したところ(腸内細菌によって産生される感じを
mimicするためです)、トレッドミルの走行時間が
長くなったのだそうです。
プロピオン酸は
マウスにおいて心拍数上昇や
酸素消費率の上昇、血圧上昇に
関係していること、
絶食状態の人間で基礎代謝量や
脂質酸化に影響を与えることが知られています。
短鎖脂肪酸であるプロピオン酸は
S状結腸や直腸から吸収されて
門脈系を通らずに直接大循環に行くことで
速やかに全身のパフォーマンスに
影響を与えることができるようです。
短鎖脂肪酸といいますと、
大腸癌の予防とかの領域で
出てくる酪酸もその一種であったな、
と思い出します。
レジスタントスターチを摂取すると
小腸で代謝されず
大腸で発酵して酪酸になって
発癌を抑制しますよ、
というやつです。
この手のものって
(例えば大腸癌の予防になるよ、って
いう研究があるようなもの、食物繊維だったり、
カルシウムとかビタミンD・B6だったり)
観察研究ではいい結果が出るのに
ケースコントロールやメタアナリシス
にすると相対リスクが地味に出て
インパクトが物足りなくなったりとか、
介入研究をしてみたら実際に
リスクが減ってくれなくて困るとか
そういうのよくあります。
プロピオン酸に関しても
今後期待していろいろstudyを組んだら
期待したほど効果が出なくて困った、とか、
なっちゃいそうな予感がすごくしますが、
でもがんばってほしいですね。
そういう結果がいまいちになっちゃう場合って
投与する対象群がheterogenousで
その中に本当に効くpopulationがあって
それを選択しないと効果が明示できない、
っていうケースもあると思います。
例えばカルシウムとかビタミンDの投与だと
ビタミンD受容体のpolymorphysmに影響受けるとか。
そこまで書いちゃうと、
この研究も今までの研究の
one of感がでちゃって残念な感じもしますが
でもすばらしい研究だと思います。
でも
マラソン前になると
選手がみんな浣腸するもんで
プロぺトとか、強力ポステリザンを処方してあげる
なんて時代になったら
なんか嫌ですね笑