泣いて叫んでのたうち回って

笑って黙って切り刻む

土砂降りの夕立に目覚めれば

待ちに待ったダンスタイム

心も身体も溶けていくような

空気の暑さと雨の冷たさに

私の居場所は消えていく


それがおかしくておかしくて

ずぶぬれ子猫は笑うんだ

狂ってなんかないよ

狂ってしまったんだよ

狂ってなにが悪いんだよ

狂いたくはないんだよ


暑さで目覚めるいつもより遅い朝

あわただしい着替えも

立ったままのトーストも

40日間は開放される


クラスの友達と行く市民プール

男子がセミに向かって

うるさーいって怒鳴ってる

女の子たちの笑い声はそれ以上だ


こんな時間に

通学の国道から学校を見るなんて

不思議な感じ

野球部のみんなの声がする


冷たいペットボトルを

おでこにあてて

私の体温が上がらないように

気持ちの温度が上がらないように


去年の私の夏はいまだにまぶしい

去年みたいにどうしてできないの

みんなは今年も同じように笑っているんだろうな

あいつも去年みたいに笑っているんだろうなあ


今年は外へ出られない

私の夏は笑えないひとりきりの夏

9月に私は

もどれるのかな


母の目


   


私の名前を口にするあなたは


私が見えますか


私に怖い顔をむけるあなたは


私が見えますか


私の涙を引きずり出すあなたは


私が見えますか



私の心の行き先よりも


体の行き先を決めつけといて


あなたの選んだ道しか進ませないのは


私は死んだも同然


生まれてこなかったのも同然



私を見てください


そして名前を呼んでください


私を見てください


そしてやさしく笑ってください


私を見てください


そして涙をぬぐってください



あなたの子供でよかったと思いたいのです