英語版エーバルバッハ少佐の「今夜はドント・ストップ」 | 親愛なるエロイカへ

英語版エーバルバッハ少佐の「今夜はドント・ストップ」

Yahoo!検索で来られた方へ:
「エロイカ」とはイタリア語で「英雄」。そしてこのサイトがテーマにしているマンガの主役、美術品泥棒の通称です。このサイトには、残念ながらお探しのものは何もありせん。
精度の低い検索エンジンの使用は中止して、GOOGLEで検索し直してください。

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連続記事の「幻の珍版エロイカLP Part3/3」は、事情により延期します。
11月中には公開予定です。

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親愛なるエロイカへ-日英14巻表紙

「エロイカより愛をこめて」14巻表紙絵。
共にワイルド目な少佐。 ©青池保子
左:英語版 CMX発行/右:日本語版 秋田書店発行

「エロイカより愛をこめて」14巻に収録の第13話「第七の封印」。
この話は、前巻から引き続いての、ギリシャが舞台の「ブラック・ボックス」追跡劇がメインだが、
中でも、KGBのギリシャ要員であり海運王でもある「ヘラクレス」の愛人たちがエーベルバッハ少佐に絡むといった、たいへん珍しいエピソードが見ものの回であるのだ。

…ということで、
その「第七の封印」ならではの女性絡みのシーンで、公式英語版CMXさんの楽しい英訳をとりあげてみよう
じゃないですか。
エーベルバッハ少佐:
Heracles won't send his beloved pets for nothing.
「ヘラクレス」が大事なペットを二人だけでよこすはずがない
There are bodyguards around somewhere.
Find them and take 'em down.
どこかで待機しているボディーガードを捜し出してとっ捕まえとけ
部下A君:
Yes,sir.
はっ
エーベルバッハ少佐:
I'll do the women. Bang bang--- It'll be over quick.
おれは女たちの相手をせににゃならん 早いとこ やっちまおう
© 青池保子著「エロイカより愛をこめて」14巻 P.66 秋田書店
Aoike Yasuko「From Eroica with Love」Vol.4 P.64 CMX/Dc Comics
これはすごい。
BANG BANG って…… 

「Bang」とは、衝突や銃撃などの、強く打ち付けたりぶつけた時の音であり、
また、俗語ではまさに“やる”ことを指す。そして、ことの最中の音のニュアンスもある。

~い、トニーさ~ん (エロイカ英語版翻訳者)!!!!
少佐をそんなにゼツ(略)………にしないと英文として完成しないんでしょうか?!

ここの部分をあえて日本語に訳すなら …… ズッコ○ バッ……  オ、オホン。 オ、オホン

……。

日本語は詩的なあいまいさが多く、(略)英訳では、日本語で言わずもがなに
なっている部分を補う必要があります。© 伊藤サム「ネイティブに通じる英語の書き方」P.95 /The Japan Times/2001.10

ジャパンタイムズ元編集局長も言う、その「補足」された部分を見つける事が、
英語版を読む楽しみの一つでもあるのだが、
今回のこのくだりは、久しぶりに目を見張る出会いだった。 う~ん… ぉおーーーっ!!

“BANG BANG”は、読者をちょっと戸惑わせるための、演出的な補足である。
これから何か“肉体労働をひと仕事”といった感じにも(結局は女たちを縛り上げる)、
“実際に女と寝る”という感じにも取れるし、この2語が入ることによって、
著者の狙い通り、少佐の発言にどちらの含意をも持たせる効果になっている。

で、でもっ、日本のファンから見て、
英語のストレートさには、時々たじろがされるよねーっ。汗…

うむ、『意図が伝わりやすい明確な英語にするためには、
日本語独特なあいまいさを補足しつつ、具体的な表現にする』べし!
でないと通じないのだ!!

おっし、やっぱり日本語へ逆翻訳!!
バッコバッコと早いとこやっちまおう
---英語版エーベルバッハ少佐 @ CMX
出典:上記に同じ

…………。  汗 ♪~


海外ファンによる二次創作フィクションなら、こんな少佐もあるのか…な。
その晩の少佐は間違いなく、 “満足するまでドント・ストップ” *♪ だねっ。

*今夜はドント・ストップ / Don't Stop 'Til You Get Enough

作詞・作曲・歌:マイケル・ジャクソン アルバム「OFF THE WALL」収録

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