立川談志に対するイメージは「気難しくて、怖くて、変わった人だけど、頭が良くて天才的に落語が上手い人」というものだった。ただ、どういう生い立ちででどういう修行時代を過ごしたかなんて一切知らず、勿論、落語を聞いたことも無かった。伝統文化を極めてる人はどんな思考回路をしてるのか?どんな価値観を持っているのか?多少興味があった。
その談志の弟子である立川談春が、自身の修行時代の実話を綴ったという本作品。なかなか知る事の出来ない談志の素顔が垣間見れるのではないかと期待し、購読してみた。
読み初めて2分後。
これは面白い、と確信した。
自身が立川談志に対して好意的な先入観を持っていた事を差し引いても、素晴らしい完成度。
簡潔で的確な文章とテンポの良い展開で作品にグイグイ引き込まれる。時折出てくる江戸っ子言葉や伝統芸能に携わる人独特の言い回し、漫才のような何気ない日常会話のやり取りに、つい顔がにやけてしまう。過不足ない情景描写によって、談志邸での弟子達の生活が鮮明な映像となって脳内に描かれる。
とにかく本職の物書きを凌駕する文章に圧倒された。
落語家に必要とされるであろうスキル。
記憶力、表現力、演技力、構成力、が余す事無く文章に落とし込まれている気がする。
おすすめです。