涙より美しく:ディー・ディー・ブリッジウォーター | かえるの音楽堂

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70年~80年のCROSSOVER(FUSION)とJAZZを中心にAORか
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どを紹介いたします。

094-Bad For Me













BAT FOR ME : DEE DEE BRIDGEWATER
(1979年)
 50年メンフィス生まれのジャズ・シンガー、ディー・ディー・ブリッジウォーターはジャズ・トランペッターであった父親の影響もあり、13歳の時からプロを目指していました。そして16歳の時から父親のバンドのメンバーとしてプロ活動を開始しました。20歳からはニューヨークに進出し歌手として活動していました。実力派ジャズ・シンガーとして活躍していたディー・ディーですが、70年代後半から80年代に掛けて、スタンリー・クラークやジョージ・デュークのプロデュースにより当時流行のソウルフルなフュージョン路線の作品を制作していました。今回紹介するアルバム“BAT FOR ME(涙より美しく)”は、ジョージ・デューク・プロデュースによる79年の作品です。ジョージの生み出すポップでダンサブルなサウンドと、ディー・ディーの抜群の歌唱力がマッチし素晴らしい作品に仕上がっています。またジョージ・デュークお気に入りの参加メンバーも実に豪華です。アース・ウィンド&ファイアーのラリー・ダン(keyb)とローランド・バウティスタ(g)、クルセイダーズのロバート・ポップウェル(b)、アルフォンソ・ジョンソン、バイロン・ミラー(b)、シーウィンドのジェリー・ヘイ(tp)とラリー・ウィリアムズ(ts)、ボビー・ライル、グレッグ・フィリゲインズ(keyb)、リッキー・ローソン(ds)、ポウリーニョ・ダ・コスタ、シーラE(perc)他と、L.Aのトップ・ミュージシャンが連なっています。

1.BAT FOR ME(涙より美しく)
2.BACK OF YOUR MIND(もうひとりの貴方)
3.FOR THE GIRLS(フォー・ザ・ガールズ)
4.LOVE WON’T LET ME GO(恋に抱かれて)
5.STREETSINGER(ストリート・シンガー)
6.IT’S THE FALLING IN LOVE(恋をしましょう)
7.TEQUILA MOCKINGBIRD(テキーラ・モッキンバード)
8.DON’T SAY IT (IF YOU DON’T MEAN IT)(ドント・セイ・イット)
9.IS THIS WHAT FEELING GETS?(FROM THE WIZ)(私の気持ち)

 1曲目のアルバム・タイトル曲「BAT FOR ME(涙より美しく)」は、ヴォーカルとリズム・セクションの絡みが素晴らしい曲です。そして何といってもローランド・バウティスタのカッティングが素晴らしい!この曲に限らず、このアルバムではローランド・バウティスタのギターが格好良く大活躍しています。まさに最高のカッティングを聴かせてくれます。2曲目「BACK OF YOUR MIND(もうひとりの貴方)」はミディアム・テンポのバラードです。こういった曲の表現力はさすがです。3曲目「FOR THE GIRLS(フォー・ザ・ガールズ)」はファンキー・チューンです。再びローランド・バウティスタのカッティングが爆発です。ロバート・ポップウェルのチョッパー・ベースとリッキー・ローソンのドラムも盛り上げてくれます。中盤でいかにも当時のジョージ・デュークらしいシンセ・ソロが入ります。4曲目「LOVE WON’T LET ME GO(恋に抱かれて)」はラリー・ダンとディー・ディーの作によるバラード・ナンバーです。5曲目「STREETSINGER(ストリート・シンガー)」はファンキーなソウル・ナンバーです。ホーン・セクションがいい効果を出しています。6曲目「IT’S THE FALLING IN LOVE(恋をしましょう)」では、ローランドのイントロが、ちょっとデビット・T・ウォ-カー風でニンマリしてしまいました。フェンダー・ローズはグレッグ・フィリゲインズです。7曲目「TEQUILA MOCKINGBIRD(テキーラ・モッキンバード)」は、ラリー・ダン作でラムゼイ・ルイスの同名アルバム・タイトル曲のカバーです。いやーこの曲のヴォーカル・バージョンには脱帽です。ヴォーカル・アレンジはラリー・ダンとジョージ・デュークです。もちろん、フェンダー・ローズとミニ・ムーグはラリー・ダンです。ディー・ディーが力強く歌います。8曲目「DON’T SAY IT (IF YOU DON’T MEAN IT)(ドント・セイ・イット)」もファンキー・ナンバーです。ボビー・ライルのアコピのバッキング、ローランドのカッティング、歯切れのいいリッキー・ローソンのドラム、ホーン・セクションに乗ってディー・ディーの素晴らしい歌唱が聴けます。9曲目「IS THIS WHAT FEELING GETS?(FROM THE WIZ)(私の気持ち)」ストリングスとホーン・セクションをバックにディー・ディーの素晴らしいバラードが聴けます。ジャズ・シンガー・ディー・ディーがフュージョンと出会い残した、ソウルフルでグルーブ感たっぷりの、今でも全く色褪せていない最高のアルバムです。