ディナー・ミュージック:カーラ・ブレイ | かえるの音楽堂

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040-ディナーミュージック













DINNER MUSIC : CARLA BLEY
(1977年)
 カーラ・ブレイと言えば何となくアバンギャルドなジャズの人といったイメージがして、フュージョン・ファンにはあまりお馴染みではないかもしれません。カーラ・ブレイのベスト・アルバムと言えば1981年の“ライブ!”と言うアルバムがありますが、私としてはフュージョン・ファンの皆さまにはこちらをほうをお勧めします。その作品とはカーラがSTUFFのメンバーと共演したアルバム“DINNER MUSIC(ディナー・ミュージック)”です。独特で個性的なカラーのカーラ・ブレイと、圧倒的なリズムでグルーブするSTUFFとの共演はミスマッチにも思える組み合わせですが、これがまた相乗効果で素晴らしい作品となりました。メンバーはクリス・パーカーを除くSTUFFの5人と、カーラ・ブレイ・バンドのメンバーです。録音は1976年の7~9月でSTUFFのファースト・アルバムとほぼ同時期に録音されたものです。そういった意味でもSTUFFと共演したカーラの目の付け所も流石です。アルバムを一通り聴いた感想は、カーラ・ブレイ・バンドWITH STUFFといったイメージでSTUFF色は強いもののやはりカーラ色のほうが強く、またホーン・セクションが前面に出ています。同じようなWITH STUFF作品としては“SALENA JONES WITH STUFF”がありますがこちらはSTUFF色が強く、それに比べるとやはりカーラの緻密で計算されたアレンジの中でSTUFFがリズムを担当しているといった感じです。カーラはオルガンを中心にピアノ、テナー・サックス、ヴォーカルをプレイしています。リチャード・ティーはピアノをプレイしているようです。「Dinner Music」というコンセプトでアルバムが製作されており、アルバム・ジャケットはレストランのメニューのような楽譜で、おまけにしみまで付いています。また裏ジャケットはオーブンから料理を取り出している風で笑っているカーラです。曲は全曲カーラの作品でアレンジもカーラ自身です。

演奏:カーラ・ブレイ(p,org,vo,ts)、コーネル・デュプリー(g)、エリック・ゲイル(g)、リチャード・ティー(p)、ゴードン・エドワーズ(b)、スティーヴ・ガッド(ds)、マイケル・マントラー(tp)、ラズウェル・ラッド(tb)、カルロス・ワード(sax,fl)、ボブ・スチュワート(tuba)

01. SING ME SOFTLY OF THE BLUES (ブルースをそっと歌って)
02. DREAMS SO REAL (ドリームス・ソー・リアル)
03. AD INFINITUM (アド・インフィニタム)
04. DINING ALONE (ダイニング・アローン)
05. SONG SUNG LONG (ソング・サング・ロング)
06. IDA LUPINO (アイダ・ルピノ)
07. FUNNYBIRD SONG (ファニーバード・ソング)
08. A NEW HYMN (ア・ニュー・ヒム)

 1曲目「SING ME SOFTLY OF THE BLUES (ブルースをそっと歌って)」ホーム・パーティーでしょうか、ディナーのSEをバックにカーラのゆったりとしたピアノ・ソロからスターとします。そしてSTUFFのリズムをバックにカーラのオルガン、ホーン・セクションがテーマを吹きます。ギター・ソロはコーネル・デュプリーですね。乗りの良いブルース曲です。2曲目「DREAMS SO REAL (ドリームス・ソー・リアル)」ピアノとエリック・ゲイルのギターのイントロからラズウェル・ラッドがトロンボーンでテーマを吹きます。ちょっとゴスペル・テイストの哀愁溢れる曲です。3曲目「AD INFINITUM (アド・インフィニタム)」3拍子のワルツ風でグルーブしまくっています。4曲目「DINING ALONE (ダイニング・アローン) 」カーラ・ブレイが気怠い雰囲気で歌います。カルロス・ワードのサックスも良い雰囲気です。STUFFのバッキングも流石です。5曲目「SONG SUNG LONG (ソング・サング・ロング)」バックのグルーブはSTUFFらしいです。ちょっと怪しい雰囲気の曲です。6曲目「IDA LUPINO (アイダ・ルピノ)」カーラのピアノからスタートします。サックス・ソロもカーラです。そしてエリック・ゲイルの泣きのギターが素晴らしいです。7曲目「FUNNYBIRD SONG (ファニーバード・ソング)」この曲が一番STUFFらしい曲です。STUFFのメンバーがグルーブしまくっています。8曲目「A NEW HYMN (ア・ニュー・ヒム)」ラストはゴスペル風味のバラードです。カーラ・ブレイのオルガンも厳かな雰囲気です。カーラの楽曲の独特な雰囲気のアレンジは彼女の持ち味です。そしてその綿密なアレンジとSTUFFの独特なグルーブが見事にマッチングしています。やはりSTUFF好きとしては外すことでできない重要なアルバムです。