金曜の夜。

どこか懐かしく、胸が高鳴る。

行き先は姫路。

おばあちゃんに会いに毎年2回、お盆と正月。

もう何年も時が経って

おばあちゃんに会いに行くことはなくなった。

自分で切符を買って

自分のやりたいことのために新幹線に乗る

行き先は名古屋

大人になった僕はまた君に乗り込む

行き先や目的は違えど

また君に会えてよかった



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目覚めは午前11時。


伊豆高原ホテルビアントのコテージで一夜を過ごし、二日酔いで起きた瞬間、チェックアウトするべき時刻がすでに過ぎていることに気づく。


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荷物をかき集めてコテージを後にし、すでに半分以上過ぎてしまった今日の予定をなんとなく考えてみる。


とにかくみんなお腹がへったので食事をとるという目的は全会一致であった。


そして伊豆高原付近に何件かあったイタリアンレストランの『焼きたてピザ』の文字や赤と白と緑の国旗が僕らにその国の食事をとらせたがった。


長い信号待ちの後、恐らく運命的とも言えるお店と出会う。


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そのお店はイタリアンレストランでありながら、まずはコーヒーを飲んでひたすら自分の好きなことをするというスタンスのお店で、外のテラスに座った僕らに注文をとりに来るまでに45分以上はかかるという、ちょっとぶっ飛んだお店だった。


どんなお店かというと…


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ちなみに外の看板には店名と『ASOBE』という文字が大きく書いてある。


上の一番下に写っているのがキャプテンと呼ばれるこの店のオーナー。お店に入った途端に、


『1、2時間待って本当においしいピザを食べるか、他の店のまずいピザを食うかどっちがいい?』


と僕らに問いかけ、勝手に僕らを案内した店員を怒鳴りちらし、コーヒーをがぶがぶ飲めとメニューに自己流のスタンスを載せた人である。


席に座って暫くは店員に催促してみたり、ジッと座って周りの客の様子をうかがったりしていたが、この店でそんな普通の店と同じ行動は無意味に近いことがわかった。


とにかく、この店では急がないこと。思い思いの時間を過ごしながら腹ペコのお腹にコーヒーを流し込み空腹を楽しむことが一番良い過ごし方なんだとわかった。


それを理解してからその店にいる時間は本当に最高の時間だった。


ブランコやハンモックでのんびり揺れを楽しみ、何年ぶりかにバスケットのフリースローを体験し、卓球に燃え、色々な場所でコーヒーを飲み、生のジャズ演奏に聞き入っては瞳を閉じる。


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ここはこの店で一番高い場所。
ここでのコーヒーは格別だった。
とにかくどこで何をしてもいいというのがこの店のいいところ。


オーダーを済ますと意外と早く料理が運ばれてきた。
…いや、料理が決して早いわけではない。僕らがこの店での時の早さに慣れたんだ。


とは言え、もともと腹ペコだった僕らは欲張ってピザとパスタ両方を注文していた。
特にピザはキャプテンが生地から練り上げ、店内の釜で焼きたてをすぐに運んでくれるとあって本当においしかった。


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たっぷりモッツァレラのピザと真っ赤な太陽のパスタ。
どれだけ待っても許せる味。


むしろ、恐らく…
この与えられた何もない時間と緑と空に囲まれた吹き抜け空間こそが、この料理の調味料とさえなっているのだと思う。


食べ終わってからも、その空間その時間をなかなか抜け出したくなかったのはそういう理由だった。


すでにこのお店のとりことなった僕らは食後の水を飲み、またバスケットをし、卓球をし、テーブルでなにげない話をした。


その時にふと僕の頭から口へと流れてきたメロディはきっとそのお店で歌うべき、流されるべき音楽だったと思う。


ジャズの生バンドは演奏を再開し情熱大陸のテーマソングを奏で、子どもたちはブランコやハンモックで遊び、大人はコーヒーやビールを片手にそれを見守る。


空は真っ白で時折、太陽がそれに色を与え、風は近くの木々を揺らし新たな音を生む。


某大手女性服のブランドのCMで宮崎葵が歌っているあの曲。


なんとなく、しあわせ。





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高崎駅から上越線で25分。
渋川駅からバスで更に同じ時間を足して小一時間。


伊香保温泉に到着。
前持って何も調べてこなかった僕にとって、そこはただの温泉地ではなく立体的な迷路だった。


何となくしっかりしてそうな旅館に入り日帰り入浴できるか尋ねたが割と簡単にあしらわれた。
こんなとこ泊まってやるか!


駅下にある大きな地図を見上げてピンとくる。
『伊香保温泉源泉露天風呂』
ここに行けば間違いないでしょ。


そこは伊香保温泉名物の石段の一番上に位置する温泉でこの温泉地の全ての始まりの場所であった。


まず名物の石段を探し、そこから一番上を目指すという単純な作業を開始。
脇道を抜けて石段に着くと、ようやくここにきて観光客が味わうべきワクワク感が僕の中に生まれた。
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ここからは足どりも軽い。
365段ある石段を一歩一歩踏みしめてひたすら上を目指して行く。


それでは頂上の露天風呂に着くまでの道のりで出会った景色と事象を少しご紹介。


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まさに温泉地らしい風景。
この上にはいったい何があるのだろう。


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何かの撮影。
自分の推測によると地域の温泉番組か伊香保温泉の宣伝PVの撮影か何かだと思う。


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こけしとかダルマとかが有名なんだな、きっと…と思った。


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石段を登りきったあたりにかかる赤い橋。
下には温泉がゆるやかに流れる。


ちょうど通りかかったカップルを見ていると、橋の中央付近で女性が男性の頬にキスをしていた。
口だったらもっと複雑な気持ちになったろうなという気持ちと、純粋にこういうのいいな、という気持ちでその橋を後にした。


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温泉の出る蛇口。
そろそろ露天風呂は近いか。


石段の麓から登ること20分弱。
伊香保温泉の源泉露天風呂にたどり着いた。


いかにもという外観の受付で450円を払い、男湯の暖簾をくぐる。
中は簡易脱衣所と露天風呂があるだけでシャワーや鏡も一切ない、非常にシンプルな作りだった。


連休というこおもあって中には若い男性グループや子連れのお父さん、おじおちゃんやちょっと怪しげな長髪のおっさんまで様々な人が体を湯に沈めていた。


ちょっとしたにごり湯で近くに生えた木の葉や花びらが浮いてるのがとても良かった。


逆にその木に命を与えられ、温泉の温度によってそれを失った小さな虫たちの死骸が浮かぶのがとても嫌だった。


一寸の虫にも五分の魂。
そんな言葉出てこなかった。


とは言っても恐らく3,40分は入浴していただろうか。
小雨降り出す真っ白な空と温泉の濁った白につつまれて、体はとても癒され、同時に疲労を感じていた。


脱衣所で服に着替えた僕はどうしてもやりたいことがあった。
この温泉の風景を画像として残したい…。


足掻きもがいて写したのがこれ。


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載せたのがこの人達にばれたら訴えられるかな?
でも、とりあえず任務完了。


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伊香保温泉の源泉露天風呂はその名前を聞かなければただの露天風呂なんじゃないかと思うほど普通だったが、とてもいい時間を過ごせた。


五月の雨は僕が風呂から上がると同時に強まり、帰り道の足を早めた。
石段の下り道は昨日の睡眠不足と温泉で得たポジティブな疲労感でより長く感じさせた。


バス停近くまで来て帰りのバスの時刻を見ると時間が30分弱あった。
ちょうどお腹もへっていたのでバス停の見える喫茶店で食事をすることにした。


オーダーは観光地に来るとなんとなく食べたくなるカレーうどん。


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ごはんもサービスしてもらっておいしくいただきました。
更にそこの喫茶店のコックが横浜出身の方で地元トークでしばし盛り上がる。


元々は横浜の関内近くでコックを始め次に高崎、今は伊香保でホテル系列の会社で働いているという。
今の横浜が以前とはとても変わったことを伝えると、その方は懐かしみ同時に少し悲しげな表情をした。


江ノ島の海に初日の出を見るために友達とマラソンをしたという、彼の中学生時代の思い出話が印象的だった。


バスが到着するのが見えて、こっちに来る時はまた寄ります、とその方に伝え急いでバス停まで走った。
帰りのバスは行よりも短く20分くらいで渋川駅まで僕を届けた。


今日は高崎まで戻ってビジネスホテルに泊まる予定だ。
五月雨もやみ渋川駅からはいくらか寝ることができた。


結果的に最高だった伊香保温泉湯けむり五月雨の旅。


ただ1つだけ僕には気がかりなことがある。


ほんとに伊香保ではこけしやダルマが有名なのだろうか…




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