(プレジデントオンライン)
PRESIDENT 2012年1月30日号 掲載
クラシエホームプロダクツは11年12月、アイドルグループ、嵐の大野智さん主演の『映画 怪物くん』とコラボレーションをして、「ナイーブ」の限定商品「スイートストロベリー」を発売した。同商品は、通常の倍以上の出荷スピードとなる人気ぶりだ。
しかし、ボディソープと映画は異色の組み合わせ。「ナイーブ」ブランドのマーケティングと商品開発のリーダー、小林慎太朗氏は、コラボの経緯を次のように話す。
「ボディソープは特定商品に顧客がつきにくい商品で、使用するブランドを固定していない層が6割に達します。この層のお客様にアピールするためには目を引く仕掛けが必要です。そこに舞い込んできたのが『ナイーブ』のイメージキャラクターを務める大野さんが映画に主演する知らせ。新しい仕掛けを模索していた私たちにとって大きなチャンスでした」
ただ「ナイーブ」は、20年近い歴史を持つ同社の看板ブランドで、多くの消費者から支持を得ている人気商品。下手に新しいことをすれば、長年にわたって築き上げてきたブランド価値が棄損される恐れもある。
「コラボを提案すれば、社内から『あえて挑戦的なことをする必要があるのか』という声が出てくることはわかっていました。当社における『ナイーブ』の重要性を考えれば当然です。そうした疑問を解消して全社的な協力をとりつけることが、ブランドマネジャーの仕事でした」
コラボの実現のためには、社長と役員の前で行われる、11年10月末の承認会議でのプレゼンテーションを成功させる必要があった。ここが大きな山場だ。経営層から承認をとりつけるためにどのような準備をしたのか、さっそく見ていこう。
■1週間前
大野さんが映画に主演するという話が、小林氏の耳に最初に入ったのは11年5月。そこから承認会議1週間前までは、コラボの企画を揉んでいく期間だった。
「企画を練るうえで大切なのは、社内外の関係者とのコミュニケーション。自分たちだけで一方的に進め、会議本番でNGを出されたら、発売スケジュールに間に合いません。映画公開と時期を合わせるためには、会議の前に関係者と打ち合わせして、会議本番で100点をもらえるところまで練り上げておく必要があります。いわゆる根回しですね」
関係者と詰めておくべき課題は山積みだった。まず悩んだのは香りだ。怪物くんはカレーが大好物だが、カレーの香りのボディソープではミスマッチ。最終的に発売時期に合った素材ということでストロベリーが選ばれた。パッケージのデザインも難航した。デザインは、とくにこだわりのある部分だったという。
「詰め替え用だけでなく、ボトルにもキャラクターを入れたかった。ボディソープはお客様の回遊率が高い商品ですが、ボトルを購入していただければ、同じブランドの詰め替え用商品を買っていただける確率は高まります。ここは社外との交渉でしたが、確実に超えていかなければいけないプロセスの1つでした」
小林氏が心がけていたのは、複数の提案を用意することだった。
「あるデザインに関係者が難色を示したとします。そこからデザイナーに新しいものを発注していたのでは、とても間に合わない。そこで最初から複数案を提示して互いに合意点を探っていくのです」
通常商品の場合、デザインは3パターンほど用意する。しかし今回は約20パターンを用意。それでも時間的にはギリギリだった。
「複数提案はデザインに限った話ではありません。各関係部署との根回しでも、いくつかの案を打診してそれぞれの感触をつかみ、それを企画にフィードバックしていく。とくに今回のように期限が動かせないプロジェクトは、複数の要素を並列で進めることが重要だと思います」
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