読書記録「イコトラベリング1948-」  (角野栄子・作)

 

角野栄子さんは勿論「魔女の宅急便」の作者として有名ですが、実は私はアニメはあまり好きではなく、TVで放映されていても、最後までじっくりと見たことはありません。最近TVの番組で現在の角野栄子さんの私生活をみて、素敵な方だと初めて知りました。

 

そんなとき、たまたま友人がこの本を勧めてくれたので、図書館で借りて読みました。

 

1948年、疎開先から東京に戻った中学2年生の時から、大学を卒業して紀伊国屋書店に入社したあと、ブラジルに旅立つまでの自伝的小説です。

 

1948年は私が生まれた年です。著者は私より上の世代ですが、戦後の日本の状況は小説や映画で知識を得ているので、私なりに理解できます。

 

ずっと海外に憧れを抱き、英語を一生懸命学んで、大学にまで進むのは、現在と違い、相当な努力が必要だったはずです。彼女はごくごく控えめにご自分のことを書かかれていますが、もし第3者が書いたとしたら、 彼女は大変な才媛だったと書かれたことでしょう。文章がとても分かりやすく、読みやすかったです。

 

彼女は23歳で1人でブラジルに旅立ちましたが(経歴を読むと、結婚してからご主人の希望で一緒に行かれたそうですが)、私は30歳で家族とフランスに行くことになりました。同じく海外生活に憧れ、実現できたイコさんと私ですが、固有の才能と努力の結果は、著名な作家と平凡な主婦に別れました。(笑)

 

でも、子供時代から英語が好きで、海外に憧れていたという点では、読んでいて共感を覚えるところが沢山ありました。どちらも最初の海外経験は英語圏ではありませんでしたが。