お付の者はこう言います。
「これは本来でしたら秘密ではございますが、この竜宮城は地上と地ガンの流れが違っております。」
「流れが違う?どういうこと?」
「はい、この城の一日は地上の10年に値します。つまり既に2日おられる浦島様は地上では…」
「20年年をとってるって事?それは困ったなぁ~」
「そうでございましょう?今でしたらまだ遅くはございません。地上にお戻りに…」
「ねぇ、地上戻ったらこの姿のまま?」
「ええ、もちろんその姿のままでございます。お戻りになられますか?」
「ん~、乙姫ちゃんも捨てがたいし、村の娘たちも捨てがたいしどうしよっかな~」
「乙姫様は初心で何も出来ない姫にございますれば村の娘も懐かしいでしょう?」
「そーなんだよね、懐かしいんだよね~。帰ろうかな?」
お付の者は心の中でほくそ笑んだかもしれません。
「ん、帰るね。仕度してくれる?」
バンザイしたことでしょう。これ以上乙姫がかどわかされずにすむからです。
「帰る前に乙姫ちゃんに挨拶してくるね~」
「はいはい、それはもう姫様が悲しまれるでしょうが」
「あー、乙姫ちゃんの事泣かせちゃうのは困ったなぁ~、でも帰るって決めたし。」
浦島は乙姫の元にやってきました。
「乙姫ちゃん、僕ねもう地上に帰ろうと思うんだ。」
乙姫の瞳から真珠の涙が流れます。
「浦島…様、わたくし浦島様をお止め出来ません。ですがこの心の中のもやもやを何とかしてくださいませ…、それまではお帰りいただくことなりませんわ。」
「それは簡単な話だよ♪乙姫ちゃんは僕に恋してるんだね。」
「恋…とは何でございましょう?教えてくださるまで帰しませんわ。」
こうして折角お付の者の努力と浦島が帰ろうと思っていたのですが、
乙姫が浦島に入れ込んでいて帰るに帰れなくなってしまいました。
その後、浦島がどうなったかは誰も地上のものは知らぬはなしでございます。
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