25歳の頃に初めて映像・アニメーション業界に入ってから
36歳までその界隈をウロウロしていた。
あそこに入って一番衝撃を受けたのは
職場環境に於ける女性の人権的な取り扱いである。



今から10数年前にはなるけれども
当時入社した会社は職場がアパートのような建物で
1階と2階のフロアに多い時で30名は居たんじゃないかな。
20名が男性、10名が女性くらいの割合で
決して女性が少ないという印象ではなかった。


アニメーション業界って福岡では
専門学校でしか学ぶ場所がなかったから、
その会社には専門卒、二十歳前後の若者が多く働いていた。


当時4大を卒業し福岡では中心街の広告代理店から転職した私にとっては
非常に幼い、どうかすると高校生くらいに見える女性ばかりがいた。


まぁ、幼く見えても女性は女性だ。
10数名も大人の女性がいるのに、その会社はなんと
トイレが1つ。男女兼用だった。
しかも、当番制で男女関係なくトイレ掃除をする。


入社当時は気付かなかったけれどピンチはすぐに訪れた。
トイレに生理ポットが見当たらないんである。

「…は?」

すぐさま同僚の女性社員に尋ねてみると
「うち、置いてないんですよー」と言う。
「え?どうして?」
「掃除の時、男性に見られるのを皆嫌がってて…。」


…は??



じゃあ、ブツはどうしているのかと尋ねると
”その日”は歩いて10分のコンビニまで行くか
持ち帰っているんだそうな。


おいおいおい
赤ちゃんのオムツでさえもバッグに入れるのためらうぞ。
んなアホな話あるか!と40代男性(妻子もち)の室長に相談したところ


「あー…そっかぁ、そういうのあるんだねー…」と返ってきた。
オマエんとこの嫁さんは生理あがっとるんか。


その後生理ポットを置くか置かぬかで
何故か当時一番年上だった新入社員の私が
女性社員の会議を任されてしまったけど
カルチャーショックはその後だった。

 

置きたがらないんである。

 

皆なんでか「女性らしさ」を見せたくないような風潮で
生理問題はもちろん、寝袋で会社に3日も4日も寝泊りし
作業をするような劣悪な環境だった。


「3日お風呂に入らないと、髪がすごい」とか
笑って話す彼女らに愕然としてしまい
会議も早々に切り上げ1人煙草をふかしていた。


つーか、そん時生理だったら?
生理、だったら?
ウォシュレットもついていないトイレの会社に泊まるってどういうこと?



結局、急成長を遂げたその会社は
半年後にでかいオフィスビルに移転してくれて
初めての男女別トイレに1人万歳三唱した。


今は業界がどうなっているのか分からないけど
いまだに会社何泊とか言ってるアニメ業界の話を聞くと
生理問題がどうしても気になってしまうんである。


好きより、責任感より、まず女性っていう自分の身体のこと
人権を大事に扱ってくれるかってこと
きちんと見ていって欲しい。
会社で声挙げていくんだよ。
あたしらおんなのこなんだって。