1・はじめに

 

 2月中旬、春に向けて気温が上がり始めた頃、プログラムにて私たちは服薬との付き合い方について学んだ。

 

 一般的に服薬による治療とその影響は、就業時において常時要求されるだけの働きを見せられるか否かという点において、企業側の不安材料の一つとして見られることが多く、労働者側にとっても、飲んでいることで症状が安定することが目的の服薬治療の影響を前提とした合理的配慮の基準として、自身の雇用に関わるものとして注意を払うべき要素となる場合が多い。

 

 今回のプログラムはその服薬治療を受けながら労働することについて、それがどういう意味なのか、そしてどのように、服薬の労働に対する影響について意識するべきかを学ぶ機会となった。

 

2・服薬で気を付けたいこと~どうして薬は水やお湯で飲むのか~

 

 まず、処方箋を含む医薬品は、病院などで診断された病気に対して、確実な効能を発揮するために作られており、特定の時間帯に想定された手段で服薬することを前提としている。そのため、医薬品の成分に対して悪影響をもたらす成分の摂取を禁じていたり、医薬品の成分が効果を発揮するまでの時間を考慮しない時間帯の服薬を禁じている場合が多い。

 

 例としてカフェインを含む飲み物を用いた服薬が禁じられている。カフェインは多くの医薬品の成分との相性が悪く、医薬品の病気に対する効果を大きく低下させてしまうからである。そのため注意書きでも服用時にはお茶やコーヒーではなく水または白湯とともに飲むように書かれている。

 

3・アドヒアランス~どうやって薬を飲んで治していくのか考えよう~

 

 さらに、服薬に関する概念の一つとして、アドヒアランスというものがある。これは治療のための医薬品を処方された側の患者が、処方する側の医療従事者の決定に参加し、積極的に治療に取り組む姿勢のことであり、患者と医療従事者が相互的に理解しあい、患者が自発的に通院・服薬をすることによって効果的な治療へとつながるという考えである。

 

 しかし、精神科治療の場合、定期健診などによって状態が常時把握される内科や、物理的な損傷とその治療、そして術後経過の観察を兼ねたリハビリテーションが総合的に含まれる外科とは違い、定期的な通院と服薬による状態の変化とその把握が難しく、アドヒアランスの維持が難しい側面がある。

 

 そのため、服薬を中心とした精神科治療を受ける人は、常にアドヒアランスによる効果的な治療が長期間行えているかどうか、その際に正しく服薬が行えているのかを、常人よりもより意識する必要性がある。

 

4・向精神薬と抗精神薬~薬と毒は表裏一体~

 

 ところで、精神科及び心療内科において処方される医薬品は精神に対して作用するものが主流であり、一部からは『麻薬・覚せい剤との違いはあるのか』という疑問が持たれることが多い。

 

 抗精神薬は正式には抗精神病薬と呼ばれることが多く、医薬品という分類の中では向精神薬の一種として扱われている。精神に対して効果を発揮する医薬品の中でも幻覚・妄想・興奮といった患者の精神状態に悪影響を与える異常を抑える効果を持つ。

 

 いうなれば、向精神薬にある一般的なイメージとは正反対の結果を生み出すための医薬品であり、幻覚・妄想・興奮を意図的に引き起こして精神的快楽を無理やり発生させる麻薬や覚せい剤とは、効能や利用目的の点で大きく異なるのである。

 

5・おわりに

 

 今回のプログラムを経て、私たちは今抱えている精神的な症状とそれを治療するための手段としての服薬と、その関係性と必要性について改めて学び、より健康的な生活を送るための経験を得ることが出来た。