“不動産は共有で相続しない”
これは相続時に一般的に言われることです。
何故なら相続後に何かと動きにくい。
民法で色々規制されます。
例えば、兄弟仲良く不動産を共有で相続。
賃貸して家賃収入。若しくは売って現金化。
様々アイデアはあっても個人の意向だけでは動けません。
賃貸するには持分の過半数の同意、売却には全員の同意が必要です。
共有者に相続が起こっていれば共有者はどんどん増えます。
中には連絡つかない方や、被後見人等の判断能力の無い方がいたら・・・
やはり所有者は1人。他の相続人には代償分割等で対策です。
しかし共有で相続した方が得な時が。という事で
今日は『広大地評価』について。
広大地とは、その地域の標準的な宅地より広い土地や、
開発する際に道路や公園等の公共施設が必要な土地です。
そして広大地として評価されると評価減になります。
相続した土地の面積をX㎡とすると
0.6 - 0.05 × X㎡/1000㎡ ※最大は65%減
の計算式で出た割合に土地の評価を下げられます。
相続した土地が3000㎡、評価額が1億円であれば、
0.6 - 0.05 × 3000/1000 = 0.45
1億 × 0.45 = 4500万円 に評価が下がります。
例えばこんな土地。
兄弟二人で相続したらどうするか?
これを共有で相続するか、分筆して単独で相続するか。
共有で相続すれば広大地評価で減額
0.6 – 0.05 × 800㎡/1000㎡ = 0.56
よって
土地評価額は、20万円 × 0.56 × 800㎡ = 8,960万円・・・①
しかし、これを分筆して単独相続した場合、
こうなると広大地評価適用なし。
結果、
20万 × 400㎡ × 2 = 16,000万円・・・②
①と②を比較すると約2倍違います。
広いからと分筆し単独相続。
良かれを思ったら実は税金増です。
『不動産は共有で相続しない』の例外です。
ま、共有相続直後に分筆し、税務署から“節税目的”と睨まれる
と怖いですが。
やはり長期のプランが必要なのかもしれません。
緒方 渉