以前、私が働いていた不動産管理会社でのこと。

あるお客様から「税務署からお尋ねが来た。」との連絡が。

少しギクリとしました。その当時新聞で

「税収確保の目的で、これからは不動産投資家への目を厳しくする」

と言うような記事を見たからです。

 

その方は税理士さんに任せず毎年自分で確定申告をしていました。

早速申告書を拝見。

どうやら減価償却費の計上に問題がありそうな。

 

不動産の価格は建物代、土地代、消費税の3点で構成です。

その内、消費税を含む建物代は減価償却費として経費計上します。

つまり、減価償却費を多く計上出来れば税金が安くなります。

よって建物代の割合を本来の価格より多くしよう、とするインチキ者もいます。

 

新築の場合、価格表に建物価格や消費税の記載があれば自ずと建物代が確定です。

しかし、中古であれば・・・

 

中古に価格表はない。では建物割合は大家の些事加減??

そして加減を間違え税務署のお尋ねを受けたのが上記の大家さんです。

 

申告書を見るとなんと建物:土地の割合が82。中々強気でした。

しかし取得してから10年超。今まで税務署からのお尋ねなし。

その年の税務署の本気度が分かります。

 

では中古物件の建物代と土地代の割合はどう決めるか?

土地と建物の固定資産税評価額から割合を決めたり、

購入時の契約書に消費税が出ていればそこから求めたり等

様々あるそうです。

 

因みに消費税は個人間売買では非課税。売主が課税業者なら課税です。

 

購入価格は同じでも建物割合の違いで税額が変わります。

キャッシュフローに大きな差が出ることも。

 

因みに上記のお尋ねを受けた大家さんはあの手この手で乗り切ったそうです。

あ~毒食らわば皿まで。

 

利益至上主義の一端を目の当たりにしました。

 

 

緒方 渉