親などから土地建物やそれを取得するための資金を贈与される場合があります。
今回はそうした場合にかかる贈与税についてみていきます。


(1)贈与税


個人から無償で財産をもらったときにかかるのが贈与税です。
贈与税がかかるのは、本来の財産のほかにもみなし贈与財産にも課されるため、
注意が必要です。


以下で例をみていきます。


①夫婦で不動産を購入し、共有名義にしたとき
 実際に資金を出した人と不動産の名義人が違うと、贈与とみなされます。
 夫婦のローンの割合と共有持分割合に差があると贈与税の問題が生じてしまいます。

②親からお金を借りるとき
 お金を借りることに関して贈与税はかかりませんが、一般の銀行などと比較して
 著しく有利な条件で借りている(無利子、出世払いなど)場合には
 借入ではなく贈与と認識されてしまうこともあります。

③親などから安く買ったとき
 通常の取引価格より著しく低い金額で買い受けた場合には贈与税の問題が生ずることがあります。

④親からの借金の返済を途中でやめたとき
 残った借入金が贈与とみなされる場合があります。

 


(2)贈与税の特例


①直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

 親や祖父母から、子や孫に住宅を取得するための資金などを贈与された場合は、
 一定の要件を満たせば、最高で1,500万円まで非課税となります。
 この非課税金額は時期や、居住する住宅により変わります。

②贈与税の配偶者控除

 婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産を取得居住等した場合、
 2,000万円まで贈与税がかからない規定があります。

③相続時精算課税

 60歳以上の親から20歳以上の子に財産を贈与した場合、
 相続時精算課税を選択することができます。
 選択した場合は、2,500万円まで贈与税がかからず、
 それを超えた部分の税率が20%となります。
 贈与者が死亡した時に、それまでに贈与された財産の価格を
 相続税の課税価格に含めて計算し、
 納めた贈与税を控除することで精算します。
  ただし一度この制度を選択した場合は、その後ずっとこの制度を適用しなくてはなりません。

 


親族間では気軽に不動産や資金のやりとりが行われると思いますが、
不動産にかかわる部分は金額が大きいため、
思ってもみないところで税金がかかることがあります。
上手に特例を使って気持ちよく贈与できるようにしたいところです。


                               いけだ