とびきり元気な山本美月が見られる!

 

印象深いシーンについて山本は「唐沢さんが登場するシーン!音と光がとても印象に残っています。あの撮影は、特にみんなで作っている感じが強くて、文化祭のようなテンションでした(笑)。ミラーボールが出てくるところも、音楽が聞こえてきそうなくらいの雰囲気で見どころです。本当に時間をかけて、“みんなで一緒に頑張った感”があります」と瞳を輝かせた。

 

今回、挑むヒロイン・白雪はナゴヤ自動車に入社して3年、まだまだ修業中の女性カーデザイナー。大橋氏は、台本が完成する前から、ヒロインは山本と決め、出演交渉を行っていたそう。

 

「とても素敵なキャラクターだったので『私のことをイメージして、こういう役柄のお話をくださるんだ』『こんな風に思ってもらえてるんだ』と思うと、とても嬉しかったです。私、本当は元気がある子ではないので(笑)。こんなにハツラツと元気な子だと思って頂けて嬉しいです。この作品では、とびきり元気な山本美月が見られます(笑)。2週間名古屋にずっと泊まってやっていたので役に入り込めましたし、現場の空気もとても良くて、ずっとテンションが高かった気がします」。

  

山本が同局ドラマに初めて参加した作品は『64(ロクヨン)』(2015)。重厚な警察ドラマである『64』から一転、「台本を読んだ時、とても新しくてファンタジックな作品だと感じました。リアルを追求するお芝居ではなく、漫画のようなコミカルな演技が求められましたが、私自身、アニメなどが好きなので、そこはすんなりと役に入ることができました。『ここでこんなことが起こるわけない』という疑問はなしにして『この子はこう思ったからこうなんだ』と割り切り、120%アクセル全開で振り切りました(笑)」と笑顔を見せた。

 

同作はアニメ『鋼の錬金術師』(ハガレン)を手がけた會川昇氏のオリジナル作。“ハガレン”大ファンである山本は「白雪は車オタクで、私もオタクの気持ちがわかるので、気持ちは入りやすかったです。役作りではハガレンの中のオタクキャラクターであるウィンリィ・ロックベルを少しイメージしました。完全にその子というわけではありませんが、似た部分もあると感じたので」と役へのアプローチも“ならでは”。そんな山本に大橋氏は「アニメなどをふだんから見ていない人は、この世界観が分からないと思う。それを美月さんは説明しなくても分かってくれたんです」と信頼した様子を見せた。

 

 

山本美月、難セリフに苦戦

本作は、1960年代に一世を風靡した国産スポーツカーの名車を仮定した『ナゴヤ2000GT』をめぐる物語。そのため、難しい自動車用語や説明的なセリフも多く、なんと台本は100ページ以上にわたる。

 

60分の作品ですが、台本の厚さから2時間くらいあるのかなと思いました」と山本も驚いたようで「ダブルオーバーヘッドカムシャフト(エンジンにおける吸排気弁機構の形式)なんてよく自分でも覚えられたなって感じです(笑)。リトラクタブルライト(前照灯の一種)とかノーズ(車体前方全体)とか馴染みのない単語が出てきて。発音も分からないし、画も浮かばないし(苦笑い)。全部ネットで調べて、ふせんに書いて貼って勉強しました。単語だけでなく、例えば『この流線型のラインを』と野崎ライン(2000GTのボディーライン)を説明するシーンでは、違うところを触ってしまったら失礼になるので、きちんと細かく質問しながらやりましたね。説明シーンは長回しで撮ったので、本当に緊張したし、ドキドキだったんです」と“車のプロ”を演じた苦労を明かした。