女優の北川景子(27)、「関ジャニ∞」の錦戸亮(29)が26日、主演映画「抱きしめたい―真実の物語―」(2月1日公開、塩田明彦監督)の舞台である北海道・網走市内でプレミア試写会を行った。交通事故で記憶障害を負いながら、生涯のパートナーと巡り合った小柳つかささん(享年28歳)の実話をもとにしたラブストーリー。つかささんの親族から感謝の気持ちを伝えられた2人は、思わず感極まる一幕もあった。

 込み上げてくる思いを、抑え切れなかった。上映終了後、つかささんの母・萩田知子さん(56)が涙を浮かべながら「景子さんの姿に、つかさと重なるところが多くて…。ありがとうございました」とあいさつすると、北川の目もみるみる真っ赤に。「つかささんが生きていた証しを残せた。大切な作品になりました」と声を震わせながら話した。

 交通事故で半身まひとなり、記憶障害を負いながらも明るく生き、小柳雅己さん(38)とゴールインしたつかささん。11年、長男の和実くん(2)を出産して10日後に、障害とは無関係の難病「急性妊娠性脂肪肝」で天国に旅立った。「お母さんの涙で『大切な娘さんだったんだな』と改めて分かりましたし、一番最初に『ありがとう』と言われて私も涙が出てきました」と北川が振り返ると、雅己さんを演じた錦戸も「僕もグッときましたね。むっちゃ我慢して、下向いたら鼻水が出てきた。慌ててすすりました」と明かした。

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 昨年2月、極寒の網走でクランクインした同作。氷点下20度近くを記録するなど過酷な条件下で、2人の純愛を真摯(しんし)に演じた。和実くんからは「ママだ」と言われたほど。北川は「いつか30代、40代、母親になったとき、つかささん(の人生)を生きたことが自分の基盤になったと思える日が来ると思う」としみじみ。錦戸も「電動車いすを10秒ぐらいでたためるようになった」と胸を張った。

 網走発の運命の物語は、映画という形で全国に広がり始めた。雅己さんも「つかさも天国から本当に喜んでいると思う」と感無量の様子だ。「和実くんが大きくなったとき、好きな映画を聞かれたら『抱きしめたい』と答えてもらえたらいいな」と錦戸。家族との交流を通じ、確かな思い出が2人の胸に刻まれた。