奔放 しなやか戦う姫

真っすぐな目をした人である。迷いがあれば、すぐに

見透かされてしまいそうな空気を漂わせる。

 ヒットドラマ「のだめカンタービレ」(フジ系)のどこか

とぼけた天才的ピアニスト、「のだめ」こと野田恵役の

印象が強い。ところが、今回、原作・脚本を手掛けた

田渕久美子は、「のだめの雰囲気を予想していたが、

とんでもない。クールで、深いところに何か持っている

人」と評する。


フリードのブログ「パフュームの楽書き」-jgo04
 取材中もその片りんをのぞかせた。「ちょっとその辺

に立ってみて」と言うカメラマンに、「具体的にどうしたら

いいのか言ってください」と要望する。記者からの質問も

不明な点は何度も聞き返す。「ちゃんと答えたいから」。

適当という言葉は通用しないのだ。

 50作目の節目となる今年の大河ドラマで、演じるのは

戦国から江戸時代を生きた江(ごう)姫。「3姉妹の

末っ子で自由奔放な性格。私自身と共通点は多い」と

言う。制作統括の屋敷陽太郎からは「水のように生きた

江を表現してほしい」と言われた。

 「江は人生で様々な人に出会って別れて、いろんな

ところに行って、考え方を変化させながらしなやかに

生きた。そんな部分を表現してほしいということなの

かなと、とらえています」

 織田信長を伯父に、豊臣秀吉を義兄に、徳川家康を

義父に持つ。「戦国の3英傑」に接する存在だった。

人もうらやむ立場である反面、相次ぐ苦難に見舞われ、

時代に翻弄された。

 「結果的には思うように行かないことが多かった

人生かもしれないが、生きた過程は濃密そのもの。

ぜいたくな人生だと思う。そこを見せたいですね」

 豪華絢爛(けんらん)な戦国ドラマ。いよいよ、

幕を開ける。