奔放 しなやか戦う姫
真っすぐな目をした人である。迷いがあれば、すぐに
見透かされてしまいそうな空気を漂わせる。
ヒットドラマ「のだめカンタービレ」(フジ系)のどこか
とぼけた天才的ピアニスト、「のだめ」こと野田恵役の
印象が強い。ところが、今回、原作・脚本を手掛けた
田渕久美子は、「のだめの雰囲気を予想していたが、
とんでもない。クールで、深いところに何か持っている
人」と評する。
に立ってみて」と言うカメラマンに、「具体的にどうしたら
いいのか言ってください」と要望する。記者からの質問も
不明な点は何度も聞き返す。「ちゃんと答えたいから」。
適当という言葉は通用しないのだ。
50作目の節目となる今年の大河ドラマで、演じるのは
戦国から江戸時代を生きた江(ごう)姫。「3姉妹の
末っ子で自由奔放な性格。私自身と共通点は多い」と
言う。制作統括の屋敷陽太郎からは「水のように生きた
江を表現してほしい」と言われた。
「江は人生で様々な人に出会って別れて、いろんな
ところに行って、考え方を変化させながらしなやかに
生きた。そんな部分を表現してほしいということなの
かなと、とらえています」
織田信長を伯父に、豊臣秀吉を義兄に、徳川家康を
義父に持つ。「戦国の3英傑」に接する存在だった。
人もうらやむ立場である反面、相次ぐ苦難に見舞われ、
時代に翻弄された。
「結果的には思うように行かないことが多かった
人生かもしれないが、生きた過程は濃密そのもの。
ぜいたくな人生だと思う。そこを見せたいですね」
豪華絢爛(けんらん)な戦国ドラマ。いよいよ、
幕を開ける。